(ブルームバーグ): 金融庁・総合政策局の柳瀬護参事官は、暗号資産(仮想通貨)交換業者にも銀行や証券会社と同程度の厳しい規制や監督を適用する国際的な統一ルール構築が必要だとの認識を明らかにした。米FTXの経営破綻を受け、世界各国・地域の規制当局との協議の場で主張していく。

柳瀬氏はインタビューで、規模の大きな暗号資産市場で規制に実効性を持たせるには、銀行や証券など「トラディショナルな金融機関」と同等の対応が求められると強調。国際機関である金融安定理事会(FSB)や金融活動作業部会(FATF)などの場でこうした日本の考えをすでに伝え始め、議論を促していると述べた。

世界に広がる暗号資産市場を巡っては、米証券取引委員会(SEC)が交換業者の取り締まり強化を示唆。ドイツの規制当局は金融の安定を確保するためのグローバルなルールづくりを求め、シンガポールの中央銀行も個人利用者の保護など一連の対策を提案している。

柳瀬氏は日本も「国際的なフレームワークづくりに貢献していく」と語った。規制には利用者保護やマネーロンダリング(資金洗浄)防止、交換業者のコーポレートガバナンス(企業統治)などの観点が求められ、立ち入り調査やモニタリングも必要だと主張。日本も国際ルールに準拠した対応を取っていく方針を示した。

FTXの破綻を巡っては、世界で100万人を超える債権者が影響を受ける可能性があり、どの程度の資金を取り戻せるかまだ分かっていない。日本法人のFTXジャパンでは、法定通貨と暗号資産はそれぞれ別に分別管理されており、2月中旬から顧客資産の出金・出庫を再開すると説明。金融庁も返還手続きの行方を見守っている。

柳瀬氏は、暗号資産関係のビジネスが「極めて厳しい状況に置かれているという認識はある」と述べた。ただ、相次ぐ海外交換業者の日本市場からの撤退については、シェアは大きくなく、国内の暗号資産業界にそれほど大きな影響はないとみている。

また、金融庁としては個人投資家の資産形成の手段として暗号資産を広めるつもりはないとの考えも示した。むしろ暗号資産に活用されている「ブロックチェーンベースの技術の可能性について一定の期待をしている」と語った。

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