エーザイ、欧州で認知症新薬「レカネマブ」の販売承認を申請
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当然の流れでしょう。前回のアデュカヌマブでは、米国FDAが青信号を出したのに対し、欧州は赤信号を出しました。今回のレカネマブでも、その有効性はクリアになったものの、あくまで副反応やコストとの天秤の中で判断される必要があり、依然として議論は分かれるところだと思います。欧州の今後の判断には注目です。
詳細は野上さんの貼ってくださったリンクから、過去記事のコメントをご覧ください。アルツハイマー型認知症薬「レカネマブ」は、2021年に米国で承認を受けたアルツハイマー型認知症薬「アデュカヌマブ」と同じエーザイー米バイオジェンの企業チームによって研究開発され、2023年1月に米国で薬事承認されています。
「レカネマブ」は、「米国の医薬品承認制度における画期的・新規の作用機序(基盤・基礎理論)をもつ治験薬に対して、実施する臨床試験のステータスを上げる」目的から米国で優先審査の対象になっていました。
先行の「アデュカヌマブ」は、治療コストが高く患者数も多いことから、米国で民間保険会社の多くがこれを扱わないとして、実質的な使用が難しい状態になっています。極めて異例です。欧州はこの医薬品を承認せず、日本は「病気の原因となるアミロイドβ自体であることにいまだ疑問が残る」とのレベルを含め判断保留になっていました。
エーザイー米バイオジェンの共同チームは、今後「レカネマブ」の方に力を入れる計画です。企業としては保険適応を含めて医薬品として承認を目指しますが、保険会社(日本のように保険機能を国家が有している場合には国家)としてこれを全面的に受け入れた場合のコストが莫大になることはわかっているため、今後どのような決着がつくのかの予想は難しいと思います。
その結果に影響を受ける世界での売上額は、保険会社や国家の財政判断の方向性により左右され、上に行けば「兆」単位、下に行けば2,3桁億円と思われ、極めて幅の広い範囲でしか予測できません。先行して承認した米国は、使える薬剤の指定として国家が行うものの、保険の支出は主に民間保険会社ですので、この場合、民間保険会社の判断が売り上げを左右します。レカネマブより前にFDAに承認されたアデュカヌマブは、欧州や日本では承認されず、国や地域によって対応が分かれることとなりました。また、アデュカヌマブは、FDAには承認されたものの米国の高齢者向けの公的医療保険メディケアでは保険適用にならなかったこともあり、実際の現場ではほとんど使用されていません。
臨床試験で27%の認知症進行抑制効果を示したレカヌマブは、先日、FDAに迅速承認されました。今後は欧州や日本でも販売承認の申請が行われ、承認するかどうかの判断が行われる段取りです。
特に高齢化が進む欧州の先進国や日本では、投与の対象となる患者が多いことから、承認することで医療費の急上昇に繋がる懸念があり、今後の欧州の動向には注目です。