[ジュネーブ/ワシントン 21日 ロイター] - 世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会は21日、米国が輸入する香港製品に「中国製」と表示するよう義務付けていることは国際貿易ルール違反と認定する報告書を発表した。

米国は2020年まで、独自にWTOに加盟している香港を1997年に英国から中国に返還される以前と同様に扱ってきたが、香港国家安全維持法(国安法)の施行を受け、当時のトランプ政権が、香港には中国と異なる扱いを正当化できるほどの自治権が確立されていないと判断。2020年9月以降、香港から米国への輸出品に「中国製」と表示するよう義務付けた。

WTOの小委員会は米国と香港の間で緊張が高まっていることは認めたが、例外の適用に必要な「国際関係における緊急事態」にまでは至っていないと指摘。米国が香港に対し他のWTO加盟国よりも不利な扱いをすることは協定違反に当たるとした。

香港政府はこの認定を歓迎し、独立した関税地域としての特別な地位が確認されたと述べた。

しかし、米通商代表部(USTR)のアダム・ホッジ報道官は声明で「米国の行動は、中国が香港の自治とその市民の民主主義や人権を侵害し、米国の国家安全保障上の利益を脅かすという非常に懸念すべき行動に対応したものだ」と述べた。

USTRのキャサリン・タイ代表もWTOの認定を退け、表示義務を撤廃する意思はないと明言した。