2022/12/21

【教養】無印良品の生みの親「堤清二」とは誰だったのか

NewsPicks編集部
無印良品のすごいところは、「理想論」を「企業理念」として掲げ、そのまま「具現化」してしまったこと──と語るのは、著作家の永江朗氏だ。
そのような離れ業を可能にしたのが、無印良品の事実上の生みの親である、セゾングループ創業者の堤清二氏である。
40年長続きする「理想論」を打ち立て、それをビジネスとして成功させた堤氏とは、いったいどのような人物だったのか。
かつてのセゾングループの一員として、その人となりを知る永江氏に、いま改めて知っておきたい「堤清二の思想」を解説してもらった。
INDEX
  • 「セゾン文化」の功績
  • 無印の「匿名性」に込めた想い
  • 「流通の未来」を見通す視点
  • 堤清二が求めた「教養」

「セゾン文化」の功績

──堤清二氏は「ビジネスとカルチャーを両立させた」経営者として知られます。カルチャー面での堤氏の功績とはどのようなものだったのでしょうか。
永江  堤氏率いるセゾングループは、1970年代から80年代にかけて、当時はまだ知られていなかった現代アートや現代音楽を積極的に紹介し、「セゾン文化」と呼ばれるムーブメントを生みだしました。これが、最もわかりやすい功績でしょう。
今年、竹橋の東京国立近代美術館で、画家ゲルハルト・リヒターの回顧展が開かれて大盛況を収めたのは記憶に新しいところです。こうした現代アートに多くの人が関心を持つきっかけを作ったのがセゾンでした。
音楽家のジョン・ケージや、美術家のマルセル・デュシャンなども、日本ではセゾン経由で広く知名度を上げたといえます。