2022/12/24

【直言】グローバルヘルスは安全保障の問題だ

NewsPicks 副編集長 / 科学ジャーナリスト
中国で最初に新型コロナウイルスの感染者が報告されてから3年が経った。
地域差はあるものの、世界はようやく日常を取り戻しつつある。
WHO(世界保健機関)や各国の対応を検証する独立パネルは、2021年5月にまとめた報告書で、パンデミックへの「準備不足」や不平等の拡大があったと指摘した。
国際社会は今回のパンデミックから何を学び、次なる新興感染症にどう備えればいいのか──。
この難題に、国際機関の中枢で公衆衛生のプロフェッショナルとして立ち向かう1人の日本人がいる。
独立パネルの実務部隊である事務局に唯一のアジア人として参画した馬渕俊介氏。2022年3月に、低・中所得国の感染症対策を支援する「グローバルファンド(世界基金)」の保健システム&パンデミックへの備え担当部長に就任した。
「2023年は大事な年」と語る馬渕氏に、今後取るべきコロナ対策やパンデミックの教訓、さらに日本に期待される役割を聞いた。
INDEX
  • エンデミックに変化してきた
  • ナショナリズムがもたらした弊害
  • フェーズごとに変化した“成功国”と“失敗国”
  • 途上国の保健システムを強化する
  • 日本のリーダーシップへの期待

エンデミックに変化してきた

──日本では流行の「第8波」のさなかですが、世界全体の感染状況についてはどう見ていますか。