【教養】なぜ経済予測はハズれ、天気予報は当たるのか
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「なぜ未来学はうさんくさいのか?」というと、確実性の無いことをさも確実であるかのように論じるからです。
学術における確実性とは、再現可能性がある、というのと同義です。
化学や力学の実験は、同じ条件ならば、誰がやっても同じ結果になります。これが再現可能性が高い、ということです。
STAP細胞なるものがこうやってつくれる、という論文があったとして、同じ条件で実験しても誰もつくれなければ、それは再現可能性の無い論文です。
最も再現可能性が高い分野は、数学です。
歴史学では、再現は不可能なので、歴史学は、個別の事実以外には、何も確実なことは論じられません。
社会学や人類学も、ほぼ個別の事例について報告するだけです。
人間や社会はそれぞれ異なっているので、化学や力学のような再現可能性は無いからです。
経済学についても、少なくとも化学や力学に比べれば再現可能性は著しく低いです。
1970年代の日本経済を2020年のバングラデシュで再現できるかというと、ほぼ無理です。まず、同じ条件をそろえる、ということができません。
過去のデータだけなら大量に集めることができるので、似たような条件で似たような結果が起きている、といういくつかの疑似的な再現くらいは観測できますが。
未来については、データが集めようがないので、もっと確実性がありません。
何回も実験を繰り返して同じ結果が出たうえで、確実な予測というのは可能になります。再現可能性が立証されているからです。
一度も再現したことがないのに、経済とか政治について、確実な予測などできるわけがありません。
化学の実験なら、これからこういう実験結果が出る、と確実に予測できますが。
経済とか未来についての予想は、確実性についていえば、競馬の予想よりも宝くじの予想に近いでしょう。それくらい確実性を保証する根拠がありません。
単なるサイエンス・フィクションとして楽しむべきものでしょう。一昨日刊行されたデイビッド・クリスチャンの新著、『「未来」とは何か』。ありがたいことにロケットスタートを切っています。
今回は、なぜ天気予報の精度は日進月歩なのに経済予測はそうならないのか、というお話です。また冷戦期に絶頂を極めた未来学ブームと、それがソ連の崩壊とともに瓦解する話。
クリスチャンは、人間のふるまいは基本的に予測不可能、という立場ですね。
他方で、人間の営みも実はかなり物理法則に則っているという説も依然根強く(例:マーク・ブキャナン『歴史は「べき乗側」で動く』)、結論が出るのは少し先かもしれません。
ちなみに本書『「未来」とは何か』の後半では「遠い未来」は決定論の世界なので予測しやすいが「近未来」ほど複雑系なので予測は困難、という議論がでてきます。こちらも非常に面白い議論なのでご興味ある方はぜひ。
https://www.amazon.co.jp/dp/4910063250/天気予報は極めて限定的な事象の予測。経済予測は範囲が広すぎます。株価予測さえ、当たらないのに経済予測に多くを期待することはできません。人の心理的な側面が大きく影響するものは、むずかしい。
経済予測はさておき、未来は人類のビジョンと行動によって決まる。ビジョンはディザイヤーという言葉に置き換えることもできます。