2022/12/23

ちょっと待った!英語学習で陥る「5つの勘違い」

News Picks Brand Design Senior Editor
 優れた教材が世に溢れ、やる気に満ちた人が多いのに、これまでなぜ英会話が上達しなかったのか。どうして、道半ばで挫折してしまったのか。
「今年こそは英語を話せるようになろう!」
 という決意の多くは、毎年春先に散っていく。
「英語を話せるようになりたいという思い、続けられなかったという劣等感とは、今年でさよならです。なぜなら、これから半年で、あなたには英語学習の習慣がしっかり身につくからです」
 そう力強く語るのは、ビズメイツ株式会社の取締役・伊藤日加氏だ。
「まずは日本人の多くが抱いている“学習法の勘違い”をクリアにしましょう
 今回は英語学習によくある間違いを5つ挙げていただいた。
 思い当たる箇所だけでも役立ててほしい。
カナダ出身。1996年、英語教師として、ベルリッツ・ジャパンに入社。その後、同社4校における主任教師として、教師の採用およびマネジメント、品質管理を担当し、4年連続エクセレントパフォーマンス賞を受賞。2012年6月、同社を退社。同年7月にビズメイツ株式会社を設立、取締役 Chief Quality Officerに就任。フィリピンの現地法人のトップも兼務。
──目標と期日から逆算して進めるのが、学習の王道だと思うのですが。
 勉強ができる人にありがちな間違いですね。
 目標から逆算でやると、1つ大きな誤算が生まれます。
 それは語学の場合、初心者にはゴールへの距離が適切に算定できないこと。
 そのために高すぎる目標や、やるべき範囲を広げすぎて、計画が破綻してしまうことが多いんです。
 実は初心者が立てる英会話の目標は、かなり曖昧なことが多いんです。
 英語初心者の人って「英語ができる人」のイメージを「帰国子女の人みたいにかっこよく話したい」とか「アメリカ人と気さくにおしゃべりしたい」、「海外で生活に困らない程度の英語力を身につけたい」といった曖昧でハイレベルな目標を掲げがちです。
 その目標って、言ってしまえば「場面や相手を選ばず、ネイティブレベルで話したい」というのと一緒なんです。
 同じことを外国の方に日本語に関して言われたら、もっと目標を絞らないと厳しいんじゃないかと感じませんか。
 こうした目標を掲げてしまうと、途中でゴールが遠すぎることに気づいて、モチベーションが続かないんです。
 そして、もう1つ逆算型の落とし穴があります。
 多くの人にとって、将来のことをプランニングして学習するのは、あんまり得意じゃないということです。
 逆に目の前にある課題を解決する方が、よっぽど得意なんですね。
 30年後のためにコツコツ貯金をするとか、老後の健康のためにタバコを止めるといっても、正直ピンとこない人の方が多いはずです。
 でも、目の前の人に叱られたり、指摘されたりすると、人は動き出すことができる。
 人間はおぼろげな将来像をモチベーションにすることはできません。
 だから、「英語をいつまでにマスターして、年収がこう上がって‥‥‥」などと考えるのはやめましょう。
 ただ、やるんです!
 この記事を読んだのが運命だと思って、始めてください。
 人が成長するのはまずきっかけがあって、やり始めて、続ける。
 これだけなんですよ。
「3、2、1、ハイッ!」で始める。
 世の中にはさまざまな学習法がありますが、どの学習法かっていうより決意の問題。
 本を買ったり英会話アプリをDLしたりしても、三日坊主では意味がありません。
 学習を習慣づけられるかどうかが肝だと思います。
──どうやったら習慣化できるのでしょうか。
 1つは毎日、同じ時間、同じ場所、同じやり方でやることで、「選択肢を持たない」ことが重要です。
 いつ、どこで、どう勉強してもいいとなると、大半の人は勉強しません。そのような選択肢を持ってしまうと、『今日は忙しい』『ここでは集中できない』と、言い訳ができるからです。
 もう1つは一回の学習が短時間であること。
 習慣化には平均で2〜3カ月、長くて6カ月がかかります。いきなり毎日何時間もやるなんて無理です。
 なるべく手をつけるためのハードルを下げる必要があります。
 弊社のオンライン英会話を1回25分にしているのはそのためです。
 やり続けたある日、それをやらないことで違和感を覚えたら、それは習慣化できている証拠になります。なので、まずは短時間で、同じ時間、同じ場所、同じやり方で毎日挑戦してみてください。
きっと、いつの間にか精神的に余裕を持っている自分が見つかるはずです。
 Bizmatesの場合、習慣化を目指す段階の受講生さんには、学習プログラムで最もスタンダードな「Bizmates Program」のみに絞って受講することをお勧めしています。
 Bizmates Programは、初心者から上級者まで学べるように30段階のレベル別教材を用意し、オンライン英会話レッスンで段階的に英会話のレベルを上げられるプログラムになっています。
 5時から25時まで受講可能なので、毎日何時頃に受講するかを決めて、生活のリズムのなかに英語学習を根付かせることを推奨しています。
 英語力の伸びって3段階に分かれているんですよ。
 まず1段階目が先ほど言った習慣化で、サイクルフェーズと呼んでいます。
 ここは2〜3カ月間耐えて、英語学習を習慣にするためのフェーズです。
 もうとりあえずやればいい、もう決めたんだからやる! 毎日、同じ時間、同じ場所、同じやり方でやり続ける。
 そうしたらだんだん「同じことやっていてもつまんないな、違うことやりたいな」と余裕ができてくるんですよ。そうしたら2段階目に突入する合図です。
──2段階目はどういったものでしょう。
 アップスキリングフェーズに入ります。
 英語に慣れ親しんで、具体的に英語で何がやりたいか見えてくる段階です。
 そうなったら会議で使うフレーズを覚えたり、ビジネスメールにチャレンジしてみたり、英語でプレゼンしてみたり。
 やりたいことを自分で見つけて、どんどん自力で攻略できるようになっていく段階です。
 英語力をどんどん実践的に使えるようにしていくステージですね。
 Bizmatesではプレゼンテーション、マネジメント、採用などビジネスシーン別の英会話を学べるプログラム「Other Programs」、メール添削や面接対策など、レッスンを自由にカスタマイズできるプログラム「Assist Lesson」などで、この時期の学習を支援しています。
──そこまでできれば十分という気がしますが、その次の段階があるんですか。
 もちろん! 3段階目はアクティブステージ。
 英語が生き方の一部として定着した状態です。
 私は英字新聞を読んだり英語で映画を観たりしていますが、学習のためじゃないんです。面白いからなんですよね。生活の一部になっているんです。
 Googleも英語で検索した方が入ってくる情報は多いですし、ツールとしてライフスタイルに英語が入っている段階です。
 挫折してしまう人は最初からこの段階を夢見ているんですね。
──なるほど。英語学習を地道に続けていればフェーズが上がっていくと。
 それは少し語弊があって、英語力の上がり方ってまっすぐじゃなくて階段状なんですよ。
 途中で踊り場のような何も成長しない時間があるんです。
「全然伸びてないじゃん」という時期がしばらく続くのですが、英語の学習をずっと続けていると「あれ?今まで何言ってるかわからなかったのが、今日はめっちゃ聞き取れる!」という日が突然来るんですよね。
 だから伸びないなっていう時期も諦めないことが大事です
 いち早く停滞期を抜け出したいなら、客観的に自分の弱点を分析することが大事です。
 何ができなくて停滞してしまっているか理解し、そこに注力できれば「伸びない時期」を早く抜け出すことができます。
 自分の弱点についての客観的な分析は、プロのコンサルタントに任せてしまうのも手かもしれません。
 ビズメイツではBizmates Coachingというコーチングサービスを用意しており、プロのコンサルタントがあなたの英語力を分析し、最適な学習法をご提示しています。
──TOEICなどで高得点を取ろう、というのを目標にするのはいかがですか?
 TOEICで問われるリスニング・リーディング能力というのは、ビジネス現場で使われるスピーキング・ライティング能力とは全くの別物です。
 TOEIC高得点を目指してスキルを磨いていると、逆に話せなくなってくるんですよ。
 高得点を取って「おまえすごいな、英語得意なんでしょう。ちょっと話してみてよ」っていう周りの目がプレッシャーになって、スキルの磨かれてない英会話が余計やりにくくなっちゃうんですよね。
 私がイングリッシュピラミッドと呼んでいるものですが、まずベースに文法力・単語力、その上にインプット(リスニング・リーディング)があります。
 TOEICはインプットを問う試験です。
 話せるようになるには、その上のアウトプット(スピーキング・ライティング)を鍛える必要があります。
──日本人はベースやインプットを鍛えすぎということですね。
 そうですね。
 日本の大学入試で必要な英単語は、4000〜6000語もあるそうです。
 しかし、弊社では900語150フレーズの英語を覚えるだけで、最低限必要なビジネス英語ができるようになっています。
 それはなぜかというと、仕事のシーンは会議やプレゼンなど限定されているからです。丸暗記したフレーズが、瞬時に口から出てくれば、ある程度会話できるんです。
 お願いするときは「I’m sorry for that〜」とか、丸暗記してしまってロールプレイをして、すぐに現場で使えるようになります。
 挨拶でよく使うフレーズを覚えちゃえば「Where do you live?」と会話ができちゃうんですよ。これを文法で考えると「Where……do you……」って急に話せなくなっちゃうんですよね。
 会話の中で使う単語やフレーズに絞って、瞬時に口から出るレベルまで仕上げるのが、話せるようになるための正しい学習法です。
 しかし、多くの人が「4000〜5000語を詰め込んで話せるようにならなかったから、6000語を目指そう」みたいに知識補充の方に走ってしまう。
 頭の中の引き出しに知識が足りていないのではなく、引き出しがスムーズに開かないのが、多くの日本人の課題だと思います。
 単語とフレーズを使えるレベルに仕上げていきましょう。
──「ビジネス英会話になかなかステップアップできない」という声をよく耳にします。
「日常英会話ができるようになってから、ビジネス英会話に進む」というのは、完全に間違いです。
 日常会話とビジネス会話の難易度は一緒ですよ。何ならビジネス会話の方が簡単です。
 学校などで日常会話を先に教えるから、「ビジネスの方がレベルが上」と刷り込まれているだけです。
 本当に英語を話せる人に聞くと、「ビジネスの方が簡単」という人や、「ビジネスはできるけど、逆に顧客と食事に行くときに世間話ができないんですよ」という人も多くいるんですね。
 日常会話って、シチュエーションが多岐にわたっていますよね。
 ショッピングも、旅行も、恋愛も、趣味もすべて日常会話で、それぞれでかなり異なる単語や表現が必要です。
 なので、「日常会話ができるようになる」って、かなり対象範囲が広いんです。
 それに比べて、ビジネスはシーンが限られているので表現や単語が比較的限定的です。
 Cost、sales、planなどカタカナ語として定着しているものもありますし、会話内容もシンプルにするのがグローバルの基本です。
 ビジネス英会話は、多くの方が思っているよりハードルが低いんです。
 ビジネス英会話から入って、自己紹介、プレゼン、会議と学習範囲をしっかり絞って学習していくと、その場面の英会話力は完璧に仕上がりますし、「自己紹介なら完璧」「プレゼンはできるようになった」という自信もつきます。
──TOEICなどを目安にしないと、英会話って成長実感が湧きにくいですよね。
 たしかにTOEICでは点数だから、成長したと感じやすいんですけど、テストが目標になると、いつの間にかテクニックを極めるようになってしまいます。
 私がお勧めしたいのは、自分の話す英語を録音・録画すること。
 最初は見返すのが恥ずかしいかもしれませんが、半年も経てば、過去の自分より明らかに上達したなと感じられるでしょう。
 Bizmatesのレッスンは1日25分間となっており、レッスンを録画することができます。自分の英語を聞いてみると変な癖があるとわかるし、先生の正しい英語もスキマ時間に何回も聞けるようになっています。
 成長していないと感じていても、少し前の音源と比べると自分が成長したところを見つけられます。
──昔よりしゃべれるようになっているとわかれば、モチベーションも上がりますよね。
 そうそう。話せる範囲が増えてくると、自己紹介だとか仕事内容の話、業績説明の話など、どんどんできるようになって英語学習が楽しくなります。
 会話の中でわからなかった単語を書き留めておいて、次の会話で使ってみるのも上達の近道です。
──やはり復習は大事なんですね。
 いや、それよりもっと大事なのは予習なんです。
 なぜなら、レッスンでうまく話せたという小さな成功体験を積むことが大事だからです。
 予習ではテキストをちゃんと読んで、こういうことを話そうと準備しておく。
 テキストを開けば、レッスンの目的や質問内容などが載っているはずです。それを踏まえ、レッスンで話す内容をある程度準備しておくようにしましょう。
 英語だけでなく、話す内容もきちんと考えておくことが大事です。
 ビジネス英語って、準備が非常に大事なんです。
 ビジネスまわりの会話って、日本語でも準備なしだと結構難しいじゃないですか。
 唐突に「どういう会社で働いてるの?」「いつ作られた会社なの?」「主力事業は?」と聞かれても即答しづらいですよね。
 でも、自分や会社のことなので準備しておけば絶対答えられますし、それを話せたという体験を積むことが成功体験となり成長につながります。
 だから復習より予習に時間を割いてほしい。
 この小さな成功体験の積み重ねが自信となり、実際のビジネスの場面でも臆せず話すきっかけになります。ぜひ一つ一つできることを増やしていってほしいと思います。