(ブルームバーグ): 米フォード・モーターと電気自動車(EV)向けバッテリー製造で世界最大手、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)は米ミシガン州にバッテリー工場の建設を検討していると、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

デリケートな交渉だとして関係者が匿名を条件に語ったところでは、バージニア州もこの数十億ドル規模の工場の建設候補地に挙げられている。同工場からはフォードのEVモデル向けにリン酸鉄リチウム電池が供給されることになる。

両社は建物・インフラを含む工場全体についてはフォードが、運営と電池製造技術の権利はCATLが保有するという斬新な所有構造を検討中だと関係者は語った。実現すれば、工場は8月に成立した米インフレ抑制法(IRA)の下で有利な税額控除の適用対象となるほか、CATLによる直接的な金融投資の必要もない。

関係者によれば、米中間の緊張の高まりを受け、中国政府はCATLに米国への投資を思いとどまらせようとしている。CATLは北米工場の新設計画について、ペロシ米下院議長の訪台による緊張を理由に発表を見合わせることにしたとブルームバーグが8月に報じていた。

EVバッテリーの中国CATL、北米工場計画の発表延期-米中緊張で

今回の案はIRA成立後に浮上した選択肢の1つに過ぎず、依然として確定案件とは程遠いと関係者は話している。

CATLは電子メールで送付した発表資料で、「当社は米国への投資をなお検討中で、まだ決断を下していない。対米投資で話し合われているモデルが複数ある」と説明した。

ワシントンの中国大使館にコメントを求めたが、今のところ返答はない。中国外務省もコメント要請に今のところ応じていない。

フォードは発表資料で、「CATLとの交渉は続いており、新たに発表すべきことは何もない」と指摘した。

原題:Ford, CATL Weigh US Battery Plant Despite Tensions With China(抜粋)

--取材協力:Edward Ludlow、Danny Lee、Philip Glamann.

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