睡眠の量や深さ 脳の別部位で制御 初めて明らかに 筑波大など
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注目のコメント
睡眠のメカニズムを理解する上で、また睡眠障害の新しい治療法を考える上で、重要な一歩だと思います。
ここでは、「SIK3」のほかに「LKB1」や「HDAC4」と呼ばれるたんぱく質が関わっていて、これらの連鎖反応で「HDAC4」がリン酸という物質と結びつく、というような過程が紹介されていますが、このような細胞レベルのプロセスを理解することが、薬剤開発につながることがあります。
これらの物質を増やしたり減らしたりする物質を見つけられた場合、それが新規薬剤となる可能性がでてくるのです。
しかし、ここで注意が必要なのは、あくまで細胞レベルでの動きは、人レベルでの「ヒント」にすぎないということです。人レベルでの睡眠の変化は、人レベルで見なければ分からないという言われてみれば当たり前のことを理解しておくことも大切です。
それを認識しておかないと、「Aという食品が睡眠に深く関わるSIK3を増加させることが分かった」という知見にすぐに飛びつき、睡眠のためにすぐに食品Aをまとめ買いする人になってしまうからです。LKB1がSIK3をリン酸化し、SIK3がHDAC4をリン酸化することで、HDAC4が細胞質に移行し核内で働かなくなることでノンレム睡眠が増えるということがマウスによる実験で明らかになりました。
https://www.toho-u.ac.jp/press/2022_index/20221206-1258.html
これらをふまえれば、中枢神経で作用するHDAC4阻害薬(中枢神経で効くためには、脳血液関門を取り抜ける分子でないといけません)を開発することやLKB1をさらに上流で制御しているタンパク質などを創薬標的として制御する分子が新規の医薬品となる可能性があります。
確かに、ヒトではまだどうなるかは分かりません(試していないので、どちらになるのかは分かりません)が、こちらのパスウェイは、(試す価値のある)重要な創薬標的になりそうです。