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エーザイ株が急落、一時10%超安 アルツハイマー薬治験で死亡例報告

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    総合内科医 医学博士

    解釈に注意が必要なニュースです。
    エーザイが開発した「レカネマブ」は、アミロイドβを標的としたアルツハイマー病治療薬です。今年の9月末に第3相臨床試験の結果が発表されたことで注目され、エーザイの株価が一時ストップ高になる事態になりました。この臨床試験(Clarity AD試験)では、早期のアルツハイマー型認知症の患者1795人を対象に、レカネマブ投与群、プラセボ群などに割り付け、「18ヵ月後の認知症に関する症状スコアの平均変化量」を主要評価項目としていました。結果、レカネマブ投与群では27%の認知症症状の悪化抑制を示し、統計学的に有意な結果であったと報告されています。

    今回の記事が取り上げているサイエンス誌の記事はこちらだと思われます。
    https://www.science.org/content/article/second-death-linked-potential-antibody-treatment-alzheimer-s-disease

    記事では、サイエンス社が入手した「未発表の症例報告書」によると、レカネマブを投与された65歳の女性が脳梗塞で救急搬送され、病院で血栓を溶解するための治療を受けたところ脳出血が起こり死亡した、とのことです。

    同じくアミロイドβを標的とした抗体製剤であるアデュカヌマブでは、以前に脳出血などの副作用が報告されており、レカネマブでも副作用として脳出血は十分起こりうると考えられます。ただし、脳梗塞に対する血栓溶解治療後の脳出血は、治療の合併症として最もよく起こるものであり何も特別なことではなく、レカネマブの投与が影響したかどうかはこの1例だけではわかりません。薬の投与が影響したかどうかは、薬を投与していないグループ(プラセボ群)と比較検証して初めて全貌がわかります。にも関わらず、この記事では家族のセンセーショナルなコメントを載せるという、最も誤解を与えやすい内容になっています。こういった報道には影響されず、全体像をみる必要があるでしょう。

    なお、上記の臨床試験の詳細な結果は2ヶ月前から報告されていなかったのですが、エーザイのHPによると、本日11月29日 午後4時50分から「すべてのデータを公表する」としており、注目が集まっています。


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    マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー

    難しい事例です。レカネマブは、アミロイドβに働きかける抗体製剤です。この薬剤の投与中の死亡例は立て続けに2件報告されています。両者ともに偶然の可能性も十分ある一方、両者に共通しており、議論の焦点になっているのは、1)両者の血管にアミロイドが多量に見られていたこと、2)両者で血栓を予防ないし治療する、いわゆる「血をサラサラにする薬」が使われたことです。

    1)は「脳アミロイド血管症」と呼ばれ、アルツハイマー型認知症の患者さんの約半数までに見られることが知られています。それを区別する良い方法がないため、薬剤投与患者が増えれば、それだけ、脳アミロイド血管症の患者への薬剤投与が行われる件数が増えます。

    レカネマブは、その臨床試験の中で約17%の人に脳出血が見られていましたが、いずれも命に関わるようなケースではなかったことから、安全性として問題ないという判断がされています。

    そのメカニズムとして、血管にあるアミロイドを薬剤が攻撃することで、血管を脆弱にし、結果的に出血を起こしやすくするのではないかと考えられています。これに加えて、「血をサラサラにする薬」が投与される場合に、命に関わる出血を起こすリスクがもたらされるのかもしれません。あるいは、そうでない場合にも稀にこのような事態を起こすのかもしれません。この可能性について、これらの事例だけから、あるいは臨床試験に基づいて説明をすることは難しいと思います。

    この薬剤の有益性が仮に非常に大きければ、重篤な合併症が稀に生じたとしても、引き続き青信号が灯される可能性が高くなります。薬剤の青信号、赤信号の判断は、常に有益性と有害性との天秤の中で下されるからです。しかし、当該薬剤の場合には、示されている有益性が限定的であるために、それに応じた安全性の閾値の設定が必要です。

    そのような天秤をふまえた上で、こうした事例がFDAの判断にどう影響を及ぼすのかが注目されます。2つの事例で因果関係を確定することは当然できませんので、難しい判断であることは間違いありません。因果関係の可能性は低いとして、このまま青信号が灯るのか。あるいは、この薬剤の投与中は「血をサラサラにする薬の使用ができない」という条件付きの青信号になるかもしれません。そうした場合には、患者の多くにこの薬の投与ができないという結果につながる可能性もあります。


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    ノンフィクション作家

    サイエンスの記事読みました。もともと、アミロイドは、血管の壁にもはりついているもので、抗体薬によって、神経細胞にはりついたアミロイドを除去するとともに、血管壁にあるアミロイドも除去します。それで、壁が薄くなって血液がもれだしてくると画像上に現れる。これがARIA(アミロイド関連画像異常)です。今回の患者は、脳梗塞の血栓を溶かすtPAを投与したとたんに発作がおきたとサイエンスの記事にありますから、この tPAが直接の原因で、さらさらになった血液が、あふれだしたということだと思います。

    この事故は18カ月の治験が終わってオーブンラベルという治験参加者が引き続き薬を使える期間におこったとサイエンスはレポートしています。

    以前にも、血液をサラサラにする薬とアミロイド抗体薬を併用すると同様の事象が起こることが報告されています。

    承認の際に、血液をサラサラにする薬との併用をさけるなどの措置がとられ、承認自体には影響はないと見ます。


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