2022/11/7

【大激論】ハーバード大選抜が変わる?問われる人種の多様性

アメリカでは人種の問題は、ひときわセンシティブな問題だ。その人種問題を巡ってアメリカで大論争が起きている。
発端になっているのは、ハーバード大学とノースカロライナ大学を巡って起きている裁判だ。
大学の選抜で黒人やヒスパニック系のマイノリティの学生が優遇され、ハーバード大学が「アジア系のアメリカ人」を差別し、ノースカロライナ大学が「白人の学生」を差別しているとして裁判が起こされたのだ。
大学側は、人種的な要因を考慮していることは認めながら、「教育の現場で多様性を持たせることが学生たちの利益につながる」としている。
2大学の裁判を巡り、選抜で人種の考慮をするべきだと訴える人たち(写真:Shuran Huang/The New York Times)
アメリカでは1964年の公民権法の成立以降、差別を受けてきた黒人への雇用と大学入学を増やすために、優遇する「アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)」が認められてきた。
大学の入学については、これまで幾度にわたって「白人への逆差別だ」と批判されてきたが、最高裁では常に教育現場への多様性への理解が示され、「合憲」だとの判断が示されてきた。
しかし、アメリカではこの判断が大きく変わろうとしている。