この連載について
中国などの世界最新ビジネストレンドを紹介する週間連載。独創性にこだわりすぎず、競合の長所はすぐ学ぶ。「Think Different(異端であれ)」より「Think Different, Later(やってから考える)」な事例を取り上げる。
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オープンイノベーション、いつの頃からかなんだかよく聞くようになったバズワードです。今や一定以上のレベルの大企業はどこも取り組んでいますし、岸田首相の日本成長戦略にもがっつり盛り込まれています。
みんながこんなにもオープンイノベーションに取り組んでいるのに、ちっとも成果らしい成果が見えてこないのはなぜだろう……?
この疑問を、オープンイノベーション支援事業を手がけるReGACY Innovation Group株式会社の成瀬功一社長にうかがいました。
なぜ、日本のオープンイノベーションは成果が出ないのか……を聞いてみると、そこで出てきた意外なキーワードが冒頭の「飛び地」です。
知れば必ず腹落ちするこの答え、気になる方はぜひ本文をお読みいただきたく。
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御参考
https://shimizu-lab.jp/blog/3690.html
日本においてオープンイノベーションが流行して数年経過するのに、いまだ成果が全く出ていないということは、
・流行にのる程度の感覚で、目的に対して本気で取り組んでいない
・そもそもオープンイノベーションが目的達成に対して容易な手段ではない
・成果が出るのに想定より長期間を要する
といった論点がありそうです。
もちろん挑戦する姿勢は素晴らしいと思いますが、どんな手段であっても「とりあえずよくわからないから、流行っていることはやっておこうよ」といった軽いのノリで、成果を創出するのは難しいのではないでしょうか。
最終的には事業化であるのは当然だが、その手段や既存組織との役割分担、時間軸など変数も多い中、それをきちんと明確にし、組み手と共通認識を持ち、常にそことのギャップをみながら軌道修正していくのが重要。
例えば、オープンイノベーションのハブ組織も、役割は事業案のネタ探索か/事業案策定までの落とし込みか/事業立ち上げまでの推進か、イニシアチブは自社のハブ組織か/自社の既存組織か/組み手か、といったところが必ずしも明確ではない、または組織内で認識にばらつきがある状態で進めてしまう。
結果的に、オープンイノベーション自体の活動がうまくいっていないとか、ハブ組織が機能していないといった指摘を耳にするが、当然のことである。
その役割自体は、進めていく中で変えていくことはむしろ良いことである。
但し、最初の目論見や見立てがないまま進めると、何が要因なのか、どう軌道修正をはかればよいのか、判断の拠り所もないので身動きとりにくい。
やってみなくてはわからないのはその通り。
しかし、不確実性が高かったり時間軸が長いことでも、精度が低いことを前提に、何が起こるかをもう少し想像して、それに必要な打ち手を考えておく、または進み始めてからは客観的に取り組みを把握する組織を別に設けておき、野放しにせず、軌道修正をタイムリーに講じることができるようにしておくのが大切。
その際、別の組織は管理者ではなく、イノベーション推進するハブ組織の味方としてのスタンスが鍵となる。
進捗を管理するだけなら、何も解決にはならない。
一緒に知恵を出して解決に向かう、一方でイノベーション推進の当事者ではないからこその客観的なものの見方も活かす、というイメージである。
組み手に求めるだけでなく、まずは自社も新たな取り組みに対してオープンであることが、成否を左右する
イノベーションはあくまで目的ではなく手段であり、仲間とともに一つの船に乗り、いかにして目的地(事業ゴール)へ到達するか、を考え続ける姿勢が必要だと思います。
餅は餅屋でゼロイチのイノベーションはスタートアップに任せ、ある程度大企業にとっても意味のある大きさになったらM&Aで取り込んでいくことも積極的にやっていくといいのではないでしょうか。
そのために、M&Aを視野にいれたマイノリティ出資を行ったり、トレンドを把握する目的でVCへLP出資するのも良いでしょう。
日本企業は改善には得意しますが、前例を破って新しいものを作り出すには少々能力も意欲も欠けています。
さらに規模の変化による質の変化をもたらすという言葉もありますが、規模の面、すなわちスケールの経済では日本の人口数、国際社会における影響力なども少々不足しています。
これらはオープンイノベーションで乗り越えるでしょうか。
日本の報道を読んで、常にイノベーションの言葉が出てくるが、どう見てもただの改善であり、破壊はなし、スケールも小さい。本当の意味でのイノベーションとはかなりの距離があります。
確かに、産学連携の部分に関してはもっと密接に関わっていきたいと感じることはよくあります。そのうえベンチャー支援などの政策が充実していないと、なかなかビジネスとして成立しづらい側面もあると思います。そうなると、研究分野への期待値や将来性が下がり研究人材の海外流出や質の低下につながってしまいます。
事業化をうまく成功させ(大企業のポテンシャルを活かしながら)全体のサイクルを改善できれば、学生の立場の研究ももっと幅が広がり、より楽しめるのではないかと感じました!
「オープン・イノベーション」は手段であって、それ自体を目指すものではありませんし、流行りでやるものではありません。
(以下、記事中からの引用)
企業の研究開発支出、科学者・技術者の有用性、人口あたりの国際特許出願数はいずれも上位です。つまり、企業、とりわけ大企業のポテンシャルは依然として強力です。
ただ、その実力を発揮できないでいる。いまだに世界トップレベルの技術やそれを生み出す研究者、産業従事者がいるにもかかわらず、「事業化」できてないというのが、国家的な課題だと捉えています。
今世界のトレンドは、これまでの単なるIT・ソフトウェアのイノベーションから、レガシー技術・産業のイノベーションにシフトしており、産業革命時代と同様に日本の力をグローバルに発揮すべき時が来ます。
真のオープンイノベーションによって新たに進むべき方向を見つけることさえできれば、日本の大企業にはまだまだ多くの発展のチャンスがあります。
※個人的な見解であり、所属する会社、組織とは全く関係ありません