残念ながら、「インバウンド需要は急回復する」と考えるのが危険な理由
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岸田政権には不思議な所があり、支持率が落ちると効果的な経済対策を打ち出します。インバウンドでも、土壇場で中国のワクチンを入国要件に認めました。総合経済対策でも円安を活かす政策はど真ん中にも位置づけられました。円安の効果は大きく、外国人はコロナ前と比較すると日本は半額になったイメージを持つと思います。今こそ政権に注文を付けて、長年の課題を解決するチャンスだと思います。インバウンド業界には日本の主力産業として頑張って欲しいと思います。
注目のコメント
私は専門家として実際はインバウンド需要は急回復するとみており、日本政府や観光庁もそのように見ているようです。
国土交通省観光庁から以下の方針が発表されました。
▼インバウンド消費5兆円超のすみやかな達成を目指す政策パッケージ
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001519557.pdf
つまり、意志を持って「急回復させる」に近いと思います。
私のインバウンド市場戻りに対する過去分析は以下に貼っておきます。
▼東京オリンピックの効果を分析したもの
https://comemo.nikkei.com/n/n950f4a0a6c77
▼インバウンド消費5兆円が現実的か?を分析したもの
https://comemo.nikkei.com/n/nba78c534a790記事の中でインバウンドに対する東京五輪効果の一つに「特筆すべきは日本の伸長率の高さ(記事から引用)」があります。
「リオデジャネイロ五輪、ロンドン五輪は、開催決定前から開催年までの海外からの入国者数の平均伸長率は123.1%でした。一方、日本は開催前年の2019年までで381.5%と驚異的な数値を誇っています。(記事から引用)」
この伸長率に関しては、東京五輪効果よりもビザの緩和と国際線就航数の増加の方が大きく影響していると考えます。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/2020/html/chapter4_01_01.html
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr19_000005.html
「もし五輪が日本で開催されていなかった場合、年間インバウンド数(訪日外客数)は1000万人前後であったことでしょう。(記事から引用)」
この点も上記の理由の通り、東京五輪が無かったとしても2019年のインバウンド数が1000万人代と言う低い水準に留まることは無かったはずです。
「日本が設定していた上限数にはもとから達していないので上限撤廃が世界の渡航者へ及ぼす好影響は軽微であると予想される点が挙げられます。(記事から引用)」
この点も、上限数撤廃よりもビザ取得と旅行会社利用の条件(団体ツアー限定等)の規制を撤廃した方が好影響を与えたと言えます。
https://article.yahoo.co.jp/detail/445c23b43c9e7e091f151cd5ca83560b8d9bddfc?fbclid=IwAR2OPEYvMcBINOaWfM0YL4DUHvWQyJW-AdKXmgoiorOYiY7qSGy-THKg-yg
2019年の訪日外国人旅行者数3199万人は、日本の観光に関わる人々の努力の賜物です。年初来の入国規制自体の根拠が殆ど世界的に納得感が得られておらず、the Economist誌の画像でも皮肉られていたように、「日本に行くとマスクをさせられるらしい」というイメージはかなり浸透し始めています。
日本政府がそう予想しているから需要は戻ると思うというコメントが見られますが、その具体策(現実味)が無いからこそこういった記事が出てきていることは真摯に受け止める必要があると思います。ピーク時の需要の3割を供給していた中国が元から断たれているのに急回復するという予想は結構勇気がいる話だと思います。
通貨が安くてコロナ規制が緩いという意味では大陸欧州や東南アジアも代替先になりえると思いますし、そうならない理由が乏しいように思います。
また、仮に急回復したとして、マクロ経済分析という視点からは飲食や宿泊は産業全体と比較しても圧倒的に人手不足であることは短観で示されており、それはそれで回らないかも、という懸念が出てくるのでは、と感じます。この辺りは詳しい方のご意見が待たれるように思います。