(ブルームバーグ): 英国債相場のクラッシュ(暴落)を防ぐため、イングランド銀行(英中央銀行)が長期国債を無制限に買い入れる市場介入に28日踏み切ったことを受け、深刻な財政不安を招いた補正予算案への信頼を回復する時間が稼げると英政府は期待している。

英中銀、長期の英国債を購入-市場沈静化に必要なだけ行う

英政府の考えを知る関係者によれば、先に発表した大型減税案を撤回する計画はなく、クワーテング財務相は政府の戦略を明確に説明することで市場を落ち着かせ、通貨安定のコミットメントへの信頼を取り戻したい意向だ。

財源の手当てのない450億ポンド(約7兆円)の大型減税を柱とする補正予算案が23日に示されると、財政悪化懸念からポンド・国債が激しく売られた。

英財務省のグリフィス・シティー担当相はメディアの代表取材で、これまでの決定を政府が撤回することはあるかとの質問に対し、「わが国の経済競争力を高めるといういう意味で正しいプランだとわれわれは考える」と答えた。

ベレンベルクのシニアエコノミスト、カラム・ ピカリング氏は英中銀の行動について、政府のために「信認回復の時間」を稼いだとの見解を示す。

クワーテング財務相は減税を撤回せず、供給サイドの改革の詳細を公表し、政府の戦略をより明確に説明するために時間を費やすことになりそうだ。

     財務相は中期の財政計画を11月23日に発表する予定だ。関係者によると、28日午前に財務相と懇談した投資銀行の幹部らは、8週間という長い空白期間に最低限のコミュニケーションしか取らなければ、さらなる市場の動揺の危険があると懸念を示し、より定期的な市場への情報提供が状況の安定に寄与するのではないかと提言した。

銀行幹部らは、大型減税などを盛り込んだ経済対策の財源をどのように賄うつもりか市場は理解する必要があると当局者に伝えたという。公式発表によれば、クワーテング財務相は「財政規律」への政府の明確なコミットメントを強調した。

財務相との懇談には、米銀バンク・オブ・アメリカ(BofA)やシティグループ、モルガン・スタンレー、JPモルガン・チェースの代表も出席した。財務省の発表で明らかになった。同省の報道官と金融機関の担当者はコメントを控えている。

関係者の1人によると、政策の説明に努めてきた政府当局者らは、どうすれば投資家の信頼を取り戻すことができるか複数の金融機関に意見を求めたという。

原題:Top Bankers Tell Kwarteng to Communicate More to Calm Markets、

UK Government Hopes to Rebuild Credibility After BOE Bailout(抜粋)

(財務相と投資銀行幹部らの懇談内容を追加して更新します)

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