2022/9/28

【超名門】米イェール大が明かす世界トップ校の作り方

NewsPicks 編集部(シリコンバレー支局長)
世界トップ100校のうち、およそ40%を占めるのがアメリカの大学だ。最先端の研究施設などを作り、優秀な人材を呼び寄せる──。
そのためにアメリカのトップ大学が行っているのが、高度な資産運用だ。
大学が卒業生や法人からの寄付金を「大学基金」として独自に運用し、これが大きな財源を生み出している。大学の経営を、授業料や補助金だけではなく、基金の運用益で支えているのだ。
この基金、ちょっとやそっとの金額ではない。
最大規模のハーバード大学の基金は532億ドル(7兆6900億円)、2位のイェール大学は423億ドル(6兆1200億円)と、兆単位の基金を持つ大学がなんと10校以上も存在する。そして、運用利回りの高さも折り紙付きだ。
NewsPicks編集部は、イェール大学の学長を20年にわたって務めたリチャード・レビン氏と、同大に並ぶアメリカ西海岸の名門校、カリフォルニア大学バークレー校の副学長を務めたジョン・ウィルトン氏にインタビューし、世界と戦う大学作りの秘訣を聞いた。
INDEX
  • イェール大の金庫番
  • 街も含めたトップ大学づくり
  • 学長から直々のラブコール
  • 10兆円ファンドは成功するか?
  • 財務のエキスパートを採用
  • 「健康状態」をチェックする
  • 寄付だけでない収入源
  • 未来のスターを狙え
  • 10兆円ファンドの意味
イェール大学は1701年創設の私立大学で、アメリカの名門私立8大学からなるアイビーリーグの1つ。イギリスの高等教育の専門誌「Times Higher Education(THE)」が毎年発表する「THE世界大学ランキング」で例年、上位につけており、最新の2022年版では9位だった。

大学基金の劇的な成功でも知られ、その運用方針は他の大学基金にも多大な影響を与えた。第22代学長のレビン氏は、その運用益を有効に活用し、イェール大学の経営や文化を立て直した「中興の祖」とも言える人物だ。

イェール大の金庫番

──「大学基金」の運用を最も成功させていると言われるイェール大学ですが、どのように利益を上げているのでしょうか。
レビン 1980年代後半にイェール大学が基金のための近代的な投資手法を開拓して以来、私たちは非常に魅力的な収益を得て、大学への投資額を増やすことができるようになりました。
毎年、寄付金の一部を増やしては取り出し、大学の運営に充てています。結局、どの年も大学の総支出の約35%が寄付金の収益によって賄われています。
では、どのようにお金を稼いでいるのでしょうか。