バーゼル委、銀行保有の暗号資産向け資本規則を年内取りまとめへ
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注目のコメント
このような玄人向けの記事をピック頂いて、OBとして有難いです。
バーゼル委は私がいた時代から一貫して暗号資産の問題にも取り組んできましたし、仮想通貨⇒暗号資産という名称の変更も、ほぼ主要国が足並みを揃えて進めてきました。
記事で言及されている暗号資産の資本要件ルールですが、すでに草案は対外公表され、今月末までパブリックコメントが受け付けられているものです。
https://www.bis.org/bcbs/publ/d533.pdf
草案の趣旨をかいつまんで言えば、暗号資産を①十分な価値安定化のメカニズムを持つステーブルコイン等の"Group1"と、②それ以外の”Group2"に分けます。(価値安定化メカニズムが十分ではない、いわゆる「自称ステーブルコイン」もこちらに含まれます)。そのうえで、①については、少なくとも裏付け資産に課される資本賦課以上の資本賦課、②については原則として投資額全額を資本でカバー(すなわち、リスクウエイトは原則1250%)という案です。
他の自己資本規制の平仄から見ても、同案は(細かい修正はあるでしょうが)大枠としては妥当なものと感じます。詳細は追っていないが、どうなるか気になる(山岡さん、コメントありがとうございます!)。
あとバーゼル規制に準拠する形で、各国の金融機関の規制も作られることが多い。各国ごとに、金融機関の免許・定義などが多少違うところがある中で、銀行だけでなく暗号資産を取り扱っている企業への資本規制などもどうなっていくか。
金融システム的には、新興企業がやるほうがシステミックリスク(何か起きたときに連鎖的にリスクが拡大すること)は小さい。金融危機を思い出しても、米国という世界最大の金融市場で、米国外も含めた世界的な金融機関に関わったというのが世界的なシステミックリスクに発展した背景。
一方で、既存企業がやる方が資本規制であったり、そもそもの内部の慎重性などから、リスクの発生を抑えられる部分がある。
伸びている資産に対して、新興企業が新しいことをして、課題も出ながら解消していくプロセスは重要。一方で、それが規制がない・少ないゆえに拡大すると、規模や規制がすくないゆえにシステミックリスクにつながりやすくなる。規制はこういう部分への働きかけ、メッセージングもある。