2022/9/13

大人越えの利用率。スマートウォッチの「子ども市場」が拡大中

INDEX
  • キッズ携帯代わりの利用が増加
  • バッテリーの改良で躍進
  • 機能が少ないのはむしろメリット
  • ガジェットとの付き合い方を学ぶ
  • スマホデビュー後はお役御免?

キッズ携帯代わりの利用が増加

フロリアン・ファンゴア(47)は、アップルウォッチSE(Apple Watch SE)をプレゼント用に購入するかどうか、約1年前から迷っていた。
279ドルのアップルウォッチを贈っても、相手がすぐに壊してしまったり、なくしてしまったりするのではないかと心配だったのだ。だがこの5月、ついに彼はアップルウォッチを買った。コストを上回るメリットがあると考えたからだ。
彼がアップルウォッチを贈った相手は、8歳になる息子のフェリックスだ。
シアトル在住の製品デザイナーであるファンゴアは、テクノロジーが子どもたちの生活を侵食していることに対して、多くの人が悲観的に考えていることを知っている。
それでも「アップルウォッチであれば心配はしていません」と彼は言う。「息子には視野を広げてほしいと考えています」
3年生で成長真っ盛りのフェリックスは、実はスマートフォンが欲しかったのだと語った。それでも「アップルウォッチは本当に、すごくいい」とうれしそうだ。
フロリアン・ファンゴアと息子のフェリックス(Chona Kasinger/The New York Times)
アメリカ全域でファンゴアのような親が増えており、なかには5歳の子どもにアップルウォッチを買い与える親もいる。「子ども用ケータイ」の代わりとして使うためだ。
アップルウォッチには携帯電話通信機能があり、保護者はそれを使って子どもに連絡を取ったり、居場所を追跡したりすることができる。一方でスクリーンは小型なので、SNS中毒のような問題は回避できる。
いまや、幼い子どもや10代の若者は、スマートウォッチの一大市場を形成しているようだ。
2020年に投資銀行パイパー・サンドラーがアメリカの10代の若者を対象に実施した調査では、31%がスマートウォッチを持っていると回答した。
一方、ピュー・リサーチ・センターによれば、同年の調査でスマートウォッチを持っていると回答したアメリカの成人は、全体の21%にとどまっている。
(CasarsaGuru/Getty Images)