2022/9/6

【議論百出】「AIの作品が美術コンテストで優勝」の波紋

INDEX
  • 画像生成AI「Midjourney」の快挙
  • テキスト入力で「アート」を創造
  • 「異次元の力」を感じさせる成果
  • 世論は「芸術の死」と猛反発
  • AIアートがはらむ倫理的問題
  • 「この流れは止まらない」

画像生成AI「Midjourney」の快挙

コロラド州の公共イベント「ステート・フェア」の美術作品コンテストでは、今年も絵画、キルト作品、彫刻といったおなじみの部門で、優秀作品が表彰された。
ただひとつ、異色の受賞作品があった。
この作品を出品したジェイソン・M・アレン(コロラド州プエブロ・ウエスト在住)は、絵筆や粘土を使って作品をつくりあげたわけではない。入力した文章を超リアルなグラフィックに変換する人工知能プログラム「Midjourney」の力を借りたのだ。
アレンの作品「Théâtre D'opéra Spatial」(フランス語で「スペースオペラ劇場」の意)は、イベントのデジタルアート部門で最優秀賞に輝いた。AIが生成したアートが、由緒あるコンテストで表彰されるのは史上初のことだ。
しかし、この受賞はアーティストたちからの猛反発を引き起こした──アレンのやったことは、事実上の「不正行為」だというのだ。
本紙の電話取材に応じたアレンは、自身の作品を擁護した。作品がAIを使ってつくられたことは隠していないし(出品時の名義は「Jason M. Allen via Midjourney」)、誰もだましてはいない、というのが彼の言い分だ。
「謝罪するつもりはありません。僕は、何ひとつルールを破ることなく勝ったんです」
コロラド州の美術作品コンテストで最優秀賞に選ばれた「Théâtre D'opéra Spatial」(写真提供:Jason Allen)