[モスクワ 17日 ロイター] - ロシアはパイプラインによるガス輸出の減少に伴い、今年のガス輸出価格が平均で1000立方メートル当たり730ドルと2倍以上に上昇すると見込んでいることが、ロイターが入手した経済省の予測で分かった。その後2025年末にかけて徐々に下落する見通しという。

ロシア経済省によると、ロシア国営ガスプロムによるパイプラインのガス輸出が今年、1704億立法メートルと21年の2056億立方メートルから減少する見通し。5月時の予測は1850億立法メートルだった。

ガス輸出量は今年以降も減少し続けると予想しているが、その理由は示されていない。

供給逼迫に伴い、ガスプロムによるガス輸出の平均価格は今年1000立方メートル当たり730ドルと、昨年の同304.6ドルから2倍以上に上昇すると想定。前回予想の同523.3ドルから約40%上方修正された。

ロシアのシュルギノフ・エネルギー相は17日、35年までに年間8000万─1億2000万トンの液化天然ガス(LNG)を生産することを目指すと表明。ミシュスティン首相は同日、ロシア政府はLNG設備の開発支援に10億ルーブル(1665万ドル)を充てると明らかにした。

<産油量は増加>

予測では25年末までの石油の生産量と輸出量を上方修正。西側諸国によるロシアへの制裁措置に伴い生産を抑制したものの、アジアからの需要が増えているため、徐々に生産を増やし始めているという。

石油輸出量の増加とガス価格の上昇により、ロシアはエネルギー輸出から今年で3375億ドル、来年には2558億ドルの収入が得られる見通し。今年の見通しは前年比38%増となるほか、来年の収入も21年の2442億ドルを上回る見込み。

もし、実現すれば欧米の経済制裁に直面するロシア経済を下支えすることになる。

しかし、エネルギー収入の増加は経済全体に対する制裁の打撃を部分的に相殺するに過ぎないと、アナリストは指摘する。

ドイツ国際安全保障問題研究所のシニアアソシエイト、ジャニス・クルーゲ氏は「ロシア経済に対する制裁の影響は非常に不均一で、自動車産業など一部のセクターでは壊滅的な打撃を受けている。石油部門は今のところ比較的無傷だ」と指摘。「欧米と最も強いつながりを持っている」とするIT(情報技術)と金融も打撃を受けているという。

経済省はコメント要請に応じていない。

以下は新たな経済省の予測。かっこ内は5月時の予測。

2021 2022 2023 2024 2025

Oil output, mln T 524.0 515.0(475.3) 475.0(472.8) 480.0 (476.1) 485.0 (480.5)

Oil export, mln T 231.0 243.1(228.3) 235.5(224.8) 240.0(228.1) 240.5(229.5)

Oil product export, mln T 144.1 130.0(115.3) 113.0(121.9) 109.9(122.9) 110.8(122.9)

Average Urals oil price, $ per barrel 69.1 82.7(80.1) 72.8 (71.4) 66.0 (66.0) 61.3(61.2)

Gas output, billion cubic meters 763.5 710.9(720.9) 713.0(720.0) 730.0(730.0) 735.0 (735.0)

Pipeline gas export, billion cubic meters 205.6 170.4(185.0) 168.0 (175.0) 165.0 (165.0) 155.3 (155.3)

LNG export, mln T 29.1 30.7 (30.7) 30.7 (30.7) 35.7 (35.7) 37.2(37.3)

Gas price, $ per billion cubic meters 304.6 730.0(523.3) 471.8 (431.1) 383.9(381.0) 331.6 (336.7)

Revenue from energy export, $ bln 244.2 337.5(270.4) 255.8(237.2) 230.8(220.8) 212.7(204.7)

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