2022/7/31

【注目】月や火星で暮らすための、人工重力施設はこれだ

NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト
人類が地球を離れ、宇宙で暮らす時代がやってくるとしたら、最大のハードルとなるのは何だろうか──。
米航空宇宙局(NASA)などが注目しているのが、重力だ。
宇宙空間は無重力で、月や火星の上も地球より格段に重力が小さい。
低重力環境は、人の体に様々な影響を及ぼすことが明らかになりつつある。子供の誕生や成長への影響はまだ未知数だが、もし低重力下で育てば、地球では暮らせない体になってしまうだろう。
京都大学と鹿島建設がこのほど、この課題を解決するための共同研究に着手することを発表した。
記者会見で披露された構想の一つが、月や火星の地面にそびえ立ち、回転するグラス状の「人工重力居住施設」だ。遠心力を利用し、地球上と同じ1Gの環境で暮らすことが可能だという。
大野さんが考案した月面の居住施設(画像:鹿島建設提供)
どうしてこの形なのか。
いつ頃の実現を目指すのか。
今回の「ディープな科学」は、この居住施設を考案した鹿島建設技術研究所上席研究員の大野琢也さんのインタビューをお届けする。
幼少期から宇宙での定住に関心を持ち、仕事の傍ら独学で研究してきたという大野さん。話は企業の中での粘り強い「夢のかなえ方」にも及んだ。
INDEX
  • 「宇宙居住」で分断が生まれる?
  • F1レースを見て浮かんだアイデア
  • 1Gを実現するグラス型施設
  • 施設内を「部分テラフォーミング」
  • 本業外の夢を企業で実現する方法

「宇宙居住」で分断が生まれる?