アメリカ 4~6月GDP 年率一0.9% 2期連続のマイナスに
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注目のコメント
リセッションか否かという論点はもはやあまり意味がないと思います。昨年に比べて明らかに経済状況がネガティブな方向に動いているのは紛れもない事実。誰かが「リセッションが来た」と宣言するのを待つ意義は、少なくともビジネスにとってはない。
・株価、仮想通貨は急落し、不動産価格も冷え込み始めている
・テック業界を中心にレイオフ/採用抑制が増えてきている
・政府によるコロナ支援金の大規模支出は見込めない(カリフォルニア政府など一部は今年も予定)
・上記により、アメリカ国民の可処分所得は確実に下がっている
・WalmartやTargetには、コロナ特需に合わせて調達した大量の在庫が積み上がっている
・一方で、Dollar Tree、Dollar Generalなどのディスカウントストアの業績は既に上向いている。なかでも、食品や生活必需品が買い物に占める割合が増えている
・Amazon Prime Dayでは、昨年に比べて、購入商品数は増加したものの、平均販売単価は減少したと推測される。消費者はディスカウントで節約しようとしている。
・Meta, Snap, Youtubeなどの広告事業が軒並み落ち始めている。
個人的にはリセッションかどうかではなく、「明らかに消費者サイドの状況は変わりつつある中で、まだ好調を見せているB2B/cloudやリベンジ旅行需要などにも陰りが見え始めるのか。それはいつか」という粒度の論点の方が気になります。定義上のリセッションを満たしつつも、実の所、個人消費やこれを含むfinal salesはプラスなのでヘッドライン上の「リセッション」を騒ぎすぎるのも適切ではないように感じます。
もっと言えばパウエルが述べたように、総需要の押し下げによるインフレ抑制がプライオリティの局面で成長率の符号にはあまり拘っていないようにも見えます。もちろんこうして騒がれてしまうのでマイナスはさけたいでしょうが、それ自体はナローパスですよ、と昨日も念押ししていました。これをもってリセッション(景気後退)入りか? 答えはノー。
あくまでまだ「テクニカル」リセッション。では何をもってリセッションになるかと言えば全米経済研究所という非営利、無党派の組織による決定による。そのエコノミスト8名からなる委員会が「数か月以上続く経済全体に広く渡った大幅な経済活動の低下」であるか否かをもって判断、宣言しはじめてリセッションが認定される。いつの時代も政権は自らの代で不況を歴史に刻みたくはない、故に現政権もイエレン財務長官やホワイトハウス報道官ら皆否定している。実際に労働市場の底堅さから一理あると言えなくはないものの、これでその足音はドアのすぐ向こうまで来たというのが実態だろう。