2022/8/4

【核心】天才の相方が面白い

POWER OF TWO(2人で1人の天才)、という言葉をご存じだろうか。
nendoといえば佐藤オオキ。そう、1人の天才に光は当たりがちだ。
ところが取材を進めていくと、はたと気づく。nendoについて、誰しもが「オオキさんとイトウさん」と、ごく当然のように話していることに。
振り返れば、1人の天才が物事を成し遂げたというストーリーは、わかりやすいだけで、ただの神話なのかもしれない。
スティーブ・ジョブズの陰にはスティーブ・ウォズニアック、ソニーの盛田昭夫の裏には井深大、ジブリの宮崎駿の隣には鈴木敏夫、etc...
nendoにも、佐藤オオキと共に設立以来20年、走り続ける人物がいる。伊藤明裕。
デザイン以外のすべての意思決定を担ってきたはずだが、彼に光が当たることはほとんどない──普段は表に出てこないもう1人の天才に、NewsPicksが初めて迫った。
INDEX
  • 1.もう一つの創業秘話
  • 2.「プレゼン」で最も大事なこと
  • 3.ローソンが炎上した理由
  • 4.日本と世界の違い
  • 5.電通との協業は失敗した
  • 6.三菱商事の可能性
  • 7.尊敬する2人のクリエイター
  • 8.天才のピーク論

1.もう一つの創業秘話

イトウ 僕、大学卒業後に、コダックっていう会社を2ヵ月半で辞めてるんです。本当は1週間目でやめようと思ったんですけど。
尊敬できる先輩が1人もいなかったから。研修で、pH(水素イオン濃度指数)がどうのこうのと言われて、「pHって何ですか?」って質問したら、ばかにされたんですよ。
知らないことがあったり、それを質問したりすると、怒られるんだなって。
こんな社会にいたくないと思った。それで、辞めてフラフラして。
ふと、「オオキさん何してるかな」と思い出したんです。彼のウェブサイトを調べたら、大学院に通いながら自分で人材派遣会社をやっていた。「ソフトバンクの人材派遣です」「やらなきゃソンソン(孫、孫)」って書いてあって(笑)。