2022/7/19

【注目】売れ線を追わない「独立系書店」が全米でブームの理由

INDEX
  • コロナ期の2年で新規開店が続々
  • 7割の書店がコロナ前より繁盛
  • コロナで深まる顧客との絆
  • 書店がリードする「多様性」
  • 書店がつなぐコミュニティ

コロナ期の2年で新規開店が続々

2021年の前半に、ニューヨークのチャイナタウンで書店をオープンしようと考えたとき、ルーシー・ユー(27)は周囲から「時期が悪すぎる」と反対された。
当時、新型コロナウイルスのパンデミックの影響でチャイナタウンも大きな打撃を受け、数十の店舗やレストランが廃業を余儀なくされていた。アジア系住民に対するヘイトクライムが増加し、地元の住民や商店主たちは動揺していた。
それでもユーは、書店こそまさに、この地域に必要なものだと確信していた。
彼女はクラウドファンディングサイト「ゴーファンドミー(GoFundMe)」で、約2万ドルを調達し、マンハッタン中心部のマルベリー・ストリートにある小さな店舗(以前は葬儀屋だった)を借りた。同地区からは、書棚や本を買いそろえるための補助金として2000ドルが提供された。
そして同年12月、彼女は移民と有色人種の作家による著作や、移民・人種問題に関する書籍を専門に扱う書店「ユー・アンド・ミー・ブックス(Yu and Me Books)」をオープンした。店はオープンから4カ月以内に黒字化したという。
チャイナタウンに「ユー・アンド・ミー・ブックス」をオープンしたルーシー・ユー(Jeenah Moon/The New York Times)
アメリカの書店業界は、パンデミック初期に大きな打撃を受けたものの、その後驚きの回復を遂げている。