【実録】創業者退任から2年半。「FiNC」で起きたこと
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多額の資金調達をしたスタートアップがうまくマネタイズできないと大きな転機が訪れます。それはFiNCに限らず、WeWorkだってそうですし、そういう時には外野(メディアや一般の方々)は経営陣に対して、ダメ出しをするものです。
しかし…スタートアップとは、わずか数年間で数千億円の価値評価が付くことや、数十年で世界を変革するような事業を行うことを目指し急成長する企業であり、赤ちゃんに筋力養成ギプスをつけて3年で大人にしましょう!みたいな、そもそも無理ゲーで不自然で非常に難易度の高いヘンテコな企業形態なのです。そして、また、フェーズによって「正しさ」が180度、変わるのです。
今、世界的な「テック株」暴落を受けて、5月に米国の大手VCセコイアキャピタルが出資先を集めて以下の説明をしています。
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資本はかつてタダ同然だった、今は高価である
・資本がタダ同然のとき、もっとも業績のよい企業というのは金を湯水のごとく使う企業である。
・資本が高価なものになるにつれて、上記のような会社は最も業績の悪い企業へとなり下がる
※上記は私の英語翻訳(意訳)です。原文と翻訳全体は以下。
https://comemo.nikkei.com/n/nec764d258b62
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つまり、これは180度のルールチェンジを言っています。マクロ経済環境により「良いスタートアップの要件」は正反対に変わり得るのです。
私は、多額の資金調達を可能にしてきた前CEO溝口さんの、ビジョンの力、人を引き付ける力をリスペクトし正しいスタートアップ経営者の姿だと思っていますし、現CEOの南野さん、昔と変わらずCFOの小泉さんも尊敬するスタートアップ経営者です。
ただ、CEOだって人間なので、同一人物が、この「相反する2つの正しさ」に対して、両方に適応するのは、なかなか難易度が高いことだと思いませんか?
私は、WeWorkのアダム・ニューマンが堅実経営するところなど、想像できません。でも、彼は孫さん(とビジョンファンド)をも引き付けてやまない、ビジョンの力、アトラクトの力を持っていたと思います。巨額の資金調達、1000坪のオフィス、アメリカ拠点…ビジネスモデルが確立する前に夢に投資しすぎてしまった感がします( impatient for profit, patient for growthとはクリステンセン教授の指摘)。これからですね。
FiNC新体制後の2年半について、CEOの南野氏とCFOの小泉氏に取材をしました。メイン事業のピボットに伴う社員削減やオフィス縮小、40億の赤字からの回復を実現させた同社の裏側には、南野氏の覚悟とステークホルダーに対する丁寧なコミュニケーションがありました。現在進行形で成長するFiNCの今後が引き続き楽しみです。