BA・5対応ワクチン着手 モデルナ、FDA勧告受け
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モデルナ、ファイザーは、いずれも「オミクロン対応ワクチン」としてBA.1とオリジナルのスパイクタンパクを合わせ持つワクチンを開発し、そのデータも公表されていましたが、すでにBA.1からBA.4やBA.5に置き換わり、改めてそれらに対応するワクチンを製造するよう勧告が出た形です。
ただし、この勧告が本当に必要な動きと言えるのかには大きな疑問も残ります。そもそも、BA.1のワクチンでも、「統計学的には」オリジナルのワクチンとの差が見られていたものの、「臨床的にも」差が見られるのかは疑問視されていました。
加えて、BA.5対応ワクチンを作製したところで、1)これにさらに上乗せ効果を期待できるのか、2)作製し試験を完了した段階でBA.5が優位であるのか、などの疑問も残されており、その意義は不明です。
重症化予防効果については、オリジナルのワクチンやBA.1対応ワクチンでも十分維持されているために、小手先の変化よりは、どのタイミングで何回目を接種するかの方が現時点では重要と考えられます。劇的に変化をもたらすとすれば、今冬にも試験が開始されるとされているユニバーサルワクチンの登場でしょう。
皆様におかれましては、接種対象年齢の方はまず3回接種を確実に済ませておくことが現段階で最も重要なメッセージになるかと思います。
参考文献
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2794259米国のワクチン政策の一部変更を予見させる注目すべき情報だと思います。オミクロン株のmRNA塩基配列を用いてデザインされた商品はファイザー社とモデルナ社が開発中ですが、従来の設計や製造工程を1点でも替えると改めて審査を受ける必要があるため、患者数の減少により臨床試験が進んでいないようでした。今後はすでに実績のあるワクチンに限っては、使用する変異株を変えた場合の臨床試験が簡略化される可能性があることが読み取れる報道です。
また、数種の変異株で作られた混合タイプを検討していることも読み取れます。この考え方は変異株の多いインフルエンザウイルスのワクチンで採用されています。mRNAワクチンの変異株への即応性が格段に向上すれば、他のタイプのワクチンとの差別化能力が向上します。
基本的に新型コロナウイルスの mRNA ワクチンは、次の3つの成分から構成されています。
(1) mRNA 本体
(2) mRNA を包む部分:壊れやすいRNAを細胞内まで保護して届ける役目
(3) 塩類、糖類、緩衝剤:薬剤の安定性や保存性を高める役目
これまでの変異では、従来の新型コロナウイルスのmRNAに対し変異部分は限られていたことから従来のワクチンがある程度共通に有効でした。しかし、オミクロン株では変異部位が30程度と多いため、従来の新型コロナウイルスのmRNAから作られたワクチンでは、有効な抗体がつくられにくいと考えられています。
「オミクロン株対応ワクチン」とするものは、(1)の部分のmRNAにオミクロン株のRNAを使い、(2)と(3)は従来の新型コロナウイルス用ワクチンと同じものを使って製造することを意味しています。さらにBA.4、BA.5の方が進化の過程が新しいので、これを(1)の部分に使った方が、高い交代価を得る期待ができます。インフルエンザのワクチンでは、毎年流行するであろう型を特定して製造しています。
コロナも数年後には同じような扱いになるのでしょう。
唯一気になるのは後遺症。
けれども、インフルエンザでも酷い風邪でも、尾を引くことはあります。
その意味で、コロナはインフルエンザよりは気をつけるべきウイルスなのだとは理解します。