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IMFの救済パッケージの交渉も難航の模様.過剰負債を伴う中国支援のインフラプロジェクトの弊害が、世界経済の混乱により、スリランカのような途上国で表面化しています。中国依存度の高い途上国では同様のリスクに注意。
現職の大統領の邸宅に非武装ながら民衆がなだれこんで、大統領は退避。ついに辞意を表明。こういうのを民主主義の危機という。

ラジャパクサ一族による政権は国際ソブリン債が返済できずウィクラマシンハ首相はすでに辞任。対中債務は対外債務の10%程度に留まる。借り込んだラジャパクサ政権の経済政策の失敗だった。
スリランカの憲法では、大統領が辞任した場合、首相が大統領代行となります。
 しかし、今回は首相も辞任するので、憲法に従い、国会議長が大統領代行となります。
 憲法によれば、国会議長が大統領職を代行できるのは、30日間で、その期間に国会が次の大統領を選出しなければなりません。

これまで、スリランカ議会では、大統領職と首相職を独占してきたラジャパクサ兄弟とその一族(主要な大臣職などに就任)らによって、単独過半数の政府与党がつくられてきました。
 すでに、大多数の国会議員がラジャパクサ兄弟から離反し、政府与党は解体しています。
 対外債務が返還できずデフォルトしたのに、IMFとの交渉もできず、具体的な経済政策も3か月以上出せないでいた主な理由は、組閣もできず、法案の1つも通せなくなっていたからです。
 抗議行動が高まった結果(首相官邸などもきのうは燃やされました)、大統領も首相も辞任し、与野党は挙国一致政権をつくると合意しましたが、すんなり組閣して大統領を選出できるかは、わかりません。

大統領公邸にデモ隊突入=ラジャパクサ氏に辞任要求―スリランカ
https://newspicks.com/news/7294394/body/?ref=user_1125005
スリランカの対外債務については、こちらのアジア経済研究所の荒井さんの分析が参考になります。
https://www.ide.go.jp/Japanese/IDEsquare/Eyes/2018/ISQ201820_021.html

「債務」といった時に、様々な性質もものがあります。少なくとも、金利、返済期間、繰り延べの柔軟性といったあたりまで掘り下げて分析をする必要があります。

なんども紹介していますが、こちらのNewsPicks編集部による荒井さんへのインタビュー記事もよく整理されています。
https://newspicks.com/news/7109482

中国の貸し付け条件は、日本等より厳しいものですが、それは契約段階に記載されているものであり、それを承知で為政者はサインをしている。返済を続けている国も少なくありません。ゆえに、為政者の判断がいかに重大かを示しています。

なお、スリランカは一人当たりGDPが4200ドルまで来ていましたが、コロナ禍で4000まで減少。だいたい、インドネシア、フィリピン、ベトナムといった国々に近いです(というと「もっと低いと思っていた」と意外に感じる人が多い)。
https://tradingeconomics.com/sri-lanka/gdp-per-capita
これで、ラジャパクサ家が大統領と首相の両ポジションから外れた。

これまでの流れは、2000年代前半に首相、半ばに大統領に、兄のマヒンダ氏が就任。長く内戦が続いてきたLTTE(タミル・イーラム解放のトラ)を壊滅させて内戦終結させた。一方で、親族の登用などからくる反発で一度2015年には政権交代となった。2018年に首相に返り咲いたがすぐに裁判所が職務停止を命じ、その後2019年の大統領選挙で今回辞任した弟のゴーターバヤ氏が選任され、マヒンダ氏を首相に再度指名(兄のマヒンダ氏が最高権力者とされている)。

内戦が終結し、海外からの旅行者が増えたり、インフラ投資もかなり進めた。一方でインフラ投資中心に債務依存が大きく、かつかなりの利権を伴っていた。その際の中国との関係・依存も課題で、南端のハンバントタ港は債務を返せず運営権が99年間中国に渡り、日本・インドと共同開発していたコロンボのコンテナターミナルも中国企業にいきなり一方的に変わった(下記二つのNP編集部記事も併せて)。

【これだけ解説】なぜスリランカは経済危機に陥ったのか?(2022年5月)
https://newspicks.com/news/2499503
【スリランカ・ルポ】「一帯一路」の最前線。巨大プロジェクトで浸透する中国(2017年9月)
https://newspicks.com/news/7109482

コロナ禍で、海外からの旅行客が激減し、外貨獲得が困難に。そして、債務不安による通貨安、加えて世界的なエネルギー価格高騰。ガソリン・ガスや医薬品など国外からの調達が難しくなった。またインフレも一気に進んでいる。
ユーザベースもスリランカに拠点があり、現地メンバーと業務で毎週のように話している。数か月前は一日10時間以上の停電のこともあった。今は停電は一日に3時間ほどとのことだが、一方で燃料が全く手に入らず、半日で手に入ればラッキー、数日待っても手に入らないことも。

4月にまず大統領と首相以外が辞職。しかしこれは上記の文脈で全く意味がなく、5月に首相で最高権力者と目されるマヒンダ氏が辞任。マヒンダ氏の前、および2015年の退任後に首相だったウィクラマシンハ氏が再度首相に就任(4回目、ただ挙国一致内閣樹立に向けすでに辞任)。
そして昨日はデモ隊が辞任要求し、大統領公邸に侵入し、今回の辞任となった。
経済危機に直面すしてるスリランカのラジャパクサ大統領が辞任する意向を固めたとのこと。
政権退陣を求めるデモ隊が大統領公邸を占拠していました。
【大統領公邸にデモ隊突入=ラジャパクサ氏に辞任要求―スリランカ】
https://newspicks.com/news/7294394

【スリランカが「破産」宣言 燃料不足、危機長期化】
https://newspicks.com/news/7281553
あの船駆け込んで誰かが逃げる映像は、この独裁者一族の逃亡を映したものだったのか。
日本の財政破綻も可能性としてはあるわけだし、他人事ではないと思います。
国債の使い方をあらためて見直すべき