2022/7/1

【ご挨拶】NewsPicksを「やさしい知的共助の場」にしたい

NewsPicks 執行役員 CCO(Chief Community Officer)
いつもNewsPicksを応援してくださり、ありがとうございます。
この度、7月1日付けで、NewsPicksの執行役員CCO(チーフ・コミュニティ・オフィサー:コミュニティ担当役員)に就任させて頂きました、佐藤留美です。
NewsPicks編集部の立ち上げから携わり、長年、副編集長を務めて参りました。20年以上編集一筋の私が、なぜ、コミュニティ担当の執行役員にと、今回のオファーを頂いた時は、まさに青天の霹靂でした。
大きな仕事を前に身震いしておりますが、それ以上に、NewsPicksをいつも応援いただいている皆様に確かな価値をお届けしたいとの想いで一杯です。
では、皆様に提供させて頂きたい価値とは何かを記す前に、まずは私がNewsPicksに入社してからの道のりについて、少しだけお話しさせてください。
佐藤留美 / Rumi Sato
執行役員 CCO(Chief Community Officer)
青山学院大学文学部卒業後、出版社、人材派遣関連会社勤務を経て、2005年編集企画会社ブックシェルフを設立。「週刊東洋経済」「PRESIDENT(プレジデント)」などに人事、キャリア関連の連載記事を多数執筆。2014年7月からはニューズピックスにて編集部の立ち上げ、プロピッカー制度の設立などに従事。2015年にNewsPicks副編集長就任、2020年よりNewsPicksの姉妹キャリアメディアJobPicksの編集長も兼務。2018年『仕事2.0』を出版するなど著書多数。

皆様の「コメント」が成長の糧に

2014年の7月。今からちょうど8年前、私はNewsPicksに入社しました。
当時のNewPicksは、まだプロダクトをローンチしたばかり。編集部もなく、記事を提供してくださる媒体主のニュースキュレーションと、ユーザーの皆様のコメントだけが価値でした。
最新のニュースに、例えばその業界の内情に詳しい方や、時には当事者が専門的なコメントをする。そして、ユーザーがニュースによって今後生まれそうな未来を語り合う──。
こうして生まれたユーザーコミュニティが、経済ニュースを通じて「新しいものの見方や解釈」が得られるという体験を生み出し、NewsPicksオリジナルの強みとなっていました。
そこに魅力を感じて入社を決め、2015年には専門家による、より多角的で深いコメントを提供する「プロピッカー制度」を立ち上げさせて頂きました。
当初は15人から始まり、今では364人、歴代プロピッカーの皆様を合わせると800人以上になっています。
ゼロから作り始めた編集部オリジナルコンテンツも、ユーザーコメントのおかげで磨き込まれ、今では、ありがたいことに18万人の有料読者の方々に支えられています。
私自身、記事や動画などのオリジナルコンテンツを作る上で、ユーザーの皆様のコメントにどれほど助けられたか分かりません。
NewsPicksはメインの特集を月曜日から金曜日まで、1日1話形式で展開しておりますが、月曜日にコメントで「こんな記事も読みたい」というお声を頂いた場合、慌てて追加取材をして金曜日までに掲載した、なんてこともあります。
記者・編集者にとって、ユーザーの皆様のコメントは、上司以上に的確なフィードバックをしてくれる存在です。時には厳しいコメントも含めて、私自身の視座を広げる大事な助言となっています。
また、コンテンツ制作では大学生インターンも大きな戦力となっていますが、その仲間の1人は、高校時代の国語の授業で「NewsPicksのコメントを書く」という体験をしていたそうです。
それがきっかけでユーザーとなり、自分も運営に携わってみたいとNewsPicksにジョインしてくれた、なんてこともあります。
NewsPicksは、コミュニティに参加してくださる皆様とともに歩んできた。心からそう実感しています。

目指すのは「やさしい共助の形」

コミュニティ(Community)という言葉の語源は、ラテン語で「共有」を意味するCommunisから来ているそうです。
人々が協力し、助け合う。そして、それが自然に発生する。
私自身がユーザーの皆様のコメントに「新たなものの見方」を教わり、助けられたように、今度は私たちが日々コメントをお寄せくださる皆様に対してもっと強固なコミュニティの価値をお届けしたい──。今、その思いを強めております。
今後は、ニュースの当事者や専門家によるコメントをよりタイムリーにご紹介する体制づくりを推進していくとともに、最近始まった「Student Picker制度」のように、学生など特定層のユーザーが発する声を知れるような価値づくりにも挑戦して参ります。
また、専門家が一方的にものの見方を「教える」だけではなく、より多様性に富んだユーザーがNewsPicksというコミュニティに参加し、互いにものの見方を伝え合う。そんな、「やさしい知的共助の空間」を設計したいと思っております。
コメントだけではなく、イベントやワークショップなども通じて、NewsPicksのユーザーコミュニティに参加していただく機会と、そこで得られるインセンティブを持続的に高めてゆきたいです。
変化を楽しむ──。私が長年在籍したNewsPicks編集部は、今、こんなアイデンティティを掲げようとしています。「多様性という摩擦」を許容する社会をつくるための土台となるコンテンツを提供し、希望を伝えるメディアにしてゆきたいという想いがあるからです。
もっとも、日本のみならず世界では、SNSやコミュニティの普及により「分断」が加速しているように感じています。
例えばSNSのタイムラインでは、異なる考えを持つ人同士が過度に反目し合う場面をよく見かけます。裏側には、自分と似た価値観や意見を持つ人ばかりをフォローすることで、得られる情報が偏るというエコチェンバー現象があると言われます。
あるコミュニティでの常識が、他のコミュニティでは全く知られていないなどの情報格差も、排他的な「分断」に拍車をかけています。
NewsPicksも、こうした時流を悪い意味で助長していた面があったかもしれません。
だからこそ、これからはよりインクルーシブ(包括的)で、ここに訪れると前向きな気持ちになり、未来への希望が自然と湧いてくるような「新しいコミュニティの形」をつくりたいというのが私の想いです。
そのためには、ユーザーの皆様とのオンライン、オフラインを含めたリアルな対話の機会を増やし、皆様に頂いたフィードバックをプロダクトの改善に活かす──。そんなサイクルも作っていきたいと考えています。
コミュニティチームも私もまだまだ未熟ではありますが、私自身が変化を楽しみながら、希望を見いだし、その前向きなエネルギーを皆様と共有できましたら幸いです。
これからもNewsPicksを応援していただけましたら幸いです。最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。