米FDA諮問委、ワクチンの見直し勧告 オミクロン株に対応へ
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いま感染が広がっているBA4やBA5に対応できるワクチン、すでにファイザーは10月上旬に供給が用意できると。ものすごいスピード。ファイザーはコロナ関連売上だけでも数兆円。利益は薄いかもしれないが莫大なキャッシュフローを研究開発やグローバルな臨床試験につぎ込める体力がある。国産日の丸ワクチンではとてもこのスピードについていけないのが現状。
さらっと書かれた記事ですが、FDAのmRNAワクチンに対する承認審査のポリシー変更の意図が含まれる可能性があり、特に医療産業関係者にとって重要な報道である可能性があります。
基本的に新型コロナウイルスの mRNA ワクチンは、次の3つの成分から構成されています。
(1) mRNA 本体
(2) mRNA を包む部分:壊れやすいRNAを細胞内まで保護して届ける役目
(3) 塩類、糖類、緩衝剤:薬剤の安定性や保存性を高める役目
これまでの変異では、従来の新型コロナウイルスのmRNAに対し変異部分は限られていたことから従来のワクチンがある程度共通に有効でした。しかし、オミクロン株では変異部位が30程度と多いため、従来の新型コロナウイルスのmRNAから作られたワクチンでは、有効な抗体がつくられにくいと考えられています。
「オミクロン株対応ワクチン」とするものは、(1)の部分のmRNAにオミクロン株のRNAを使い、(2)と(3)は従来の新型コロナウイルス用ワクチンと同じものを使って製造することを意味しています。さらにBA.4、BA.5の方が進化の過程が新しいので、これを(1)の部分に使った方が、高い交代価を得る期待ができます。
従来型ウイルスのmRNAに替え、オミクロン株のmRNA塩基配列を用いてデザインされた商品はmRNAを販売する2社が開発中です。一般に従来の設計や製造工程を1点でも替えると改めて審査を受ける必要があります。
今回の「FDA勧告」は、ワクチンの開発ポリシーの変更意図を含むものととれます。つまり、今後すでに多くの臨床使用された実績を有するワクチンで、変異株に対する対応のために、(1)の部分に用いる変異株の使用を積極的に行うことを推奨することと、その点だけの変更に伴う精緻な臨床試験を求めないようにするという意図が読み取れます。このことにより、mRNAワクチンの変異株への即応性が格段に向上すれば、他のタイプのワクチンとの差別化能力も向上します。