中ロ、軍事協力拡大を協議 ウクライナ巡り、米欧対抗へ共闘
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習近平氏の69歳の誕生日のお祝いにプーチン氏が電話をかけたとのこと。
中国外務省の発表では、習近平氏は、「中国は主権や安全保障という両国の核心的利益や主要な懸念事項について、ロシアと相互に支援し続ける意志があることを表明した」ということです。
習近平氏はまた、「外国勢力によって引き起こされた安全保障上の脅威に直面し、根本的な国益を守るためにロシアがとった行動の正統性」について語ったそうです。
今年2月に両首脳が北京で会談した際、中露は国際秩序に対する共通の認識から「無制限」の協力関係を発展させることで合意しましたが、ロシアのウクライナ侵攻にもかかわらず、中国は基本的にこの合意を尊重し続けています。
米国の対中強硬策が続く以上、中国は戦略的にロシアとの関係強化に動く、という構図は変わらないでしょう。中国のこの戦争での立場は、あくまで中立です。
中国が何らかのかたちでロシアをある程度支えているのは確かですが、民間企業の取引というかたちをとっています。中国政府が大々的に軍需物資をロシアに送る、といったことはしません。
民間企業の取引なら、ヨーロッパ諸国もしていることなので、非難されにくいでしょう。
この電話会談でも、習近平主席側は、ロシアのウクライナ侵攻には一言も触れず、「ロシアが主権を守るのは正当なことであると理解する」というような、ぼかした言い方しかしていません。
中国が、公式に、表立ってロシアを軍事支援すると発表するなら、それは戦局が大きく変わる時ですが、基本的には中国政府はそういうことはしないでしょう。
中国とロシアは、2001年の中露善隣友好協力条約締結以来、経済面でも軍事面でも協力しあう、準同盟的な関係にあります。
中国は、先進的な(と当時は思われていた)ロシアの軍事技術を導入して、中国軍の近代化を達成したい、というのが主な意図としてありました。実際、中国は多種のロシア産兵器を輸入し、国産化した現在でも、ロシアの兵器が基礎になっているものが非常に多いです。
今回の戦争で、ロシアの兵器は米軍と互角に戦えるような性能ではないのではないか、という懸念が大きくなっており、中国政府としては、それが現在の大きな関心事項の1つでしょう。ロシアがウクライナに軍事侵攻した翌日(2月25日)以来の電話会談。ウクライナ情勢がこれだけ目まぐるしく、激しく、多くの損失と犠牲を伴いながら変遷してきたにも関わらず、3か月以上も会談をしなかった事実が(2013年3月、習近平氏が国家主席就任から2020年2月4日までの間、二人は38回対面で会談している)、今回の「ウクライナ戦争」が中ロ関係にとっていかに複雑、敏感、微妙な性質を内包しているかを物語っているように思います。
ただ、色々あるけれども、中ロはやはり同じ戦略的目標と世界秩序観を共有し、互いの体制、地政学的欲求、核心的利益を支持し合っていこうと再確認したということでしょう。中国外交部が発表した、短めだけれども厳かなプレスリリース(中国語で495字)からそんな冷徹さと執着心が伝わってきます。
ちなみに、同リリースには習近平氏の69歳の誕生日うんぬんは一切記載されていません。プーチン大統領や両国外交部はその点を意識はしたでしょうが。