【深掘り】アメリカで「銃犯罪」が増え続ける理由
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まず、米国で銃犯罪がどれだけ増えているのか、ですが、
米国の人口当たりでの「銃による死」が最も多かったのは、1971~75年です。現在より多かったです。
その後、減少し、1990年前後に増加、90年代半ばからは減少、2014年から増加に転じ、現在に至っています。
https://www.pewresearch.org/fact-tank/2022/02/03/what-the-data-says-about-gun-deaths-in-the-u-s/ft_22-01-26_gundeaths_2/
特に、2018年からの銃犯罪の急増は顕著です。
ちなみに、「銃による死」の半数以上は、一貫して自殺です。2020年で見ると、米国での「銃による死」4万5222人のうち、自殺は2万4292人、犯罪による他殺は1万9384人です。
https://www.bbc.com/news/world-us-canada-41488081
銃が自殺数を増やしている可能性もあり、これはこれで問題です。
「銃犯罪」の中で、特に報道されるのは、いわゆる「銃乱射事件」、複数人の殺害を目的とした銃による犯罪です。
これは、銃犯罪全体の中ではごく少数であるものの、2017年から増加傾向にあります。
もっと長期的に見ると、
2000年 3件
2010年 27件
2017年 31件
2020年 40件
です。
https://www.pewresearch.org/fact-tank/2022/02/03/what-the-data-says-about-gun-deaths-in-the-u-s/ft_22-01-26_gundeaths_4/
銃犯罪の大多数を占める強盗や個人間のいざこざと、銃乱射事件、銃による自殺は、それぞれ別の要因があると見るべきでしょう。
もちろん、銃が入手できないようになれば、いずれも減少する可能性はあります。
経済的要因、格差の拡大、人種観などの思想、そしておそらく近年特に大きな要因になっているのは、オピオイド系麻薬の蔓延です。
銃の入手規制はそれはそれで効果はあるでしょう。同時に、1980年代前半や90年代には大幅に銃犯罪が減少していたことに見られるように、他の要因に働きかけて銃犯罪を減らすことも可能でしょう。仕事でテキサス州のヒューストンに行った時のこと。私の仕事相手はセキュリティ関係の人たちなので、元軍人や警察官が多いのですが、皆銃は大好き。
仕事が早く終わると、撃ちにいくか、と言って射撃場に連れて行かれました。射撃場と言っても日本で言えばボーリング場のような感覚です。一時間くらい拳銃を撃って、そこに併設されているカフェでハンバーガーを食べて、ショップで銃や弾薬などを購入することも出来る。
銃はこの人たちにとって、レクリエーションでもあり、米国の文化なのだと強く感じました。
銃規制と聞くと彼らは反射的にアレルギー反応なように反発を示します。この記事にある通り、彼らの権利を侵すわけではないのだ、犯罪者が銃を入手しにくくするだけだ、ということを理解させて、少しずつ購入する際の審査や購入できる銃のタイプを厳しくするなどしていくしかないでしょう。今月も米国出張に行く、投資先ファウンダーも共同投資家も多数いる国、けして他人事ではない。
この数日で、そして幾年にも渡りアメリカ人が放置する事で繰り返し起きている、人間社会においておおよそ考えうる最も残酷卑劣な子供の大量銃殺という悲劇の前においては、どのような理屈も屁理屈でしかなく、共和党コンサバに根強い理念とやらもゴミでしかない、そう考えるのがまともな理知を有する人間が持つべき見識だと常々考えている。
そうすると必ずアメリカの歴史や価値観やら実情やらを知らない日本人が高みの見物で理屈を言ってもどうのこうのという意見が出る。それは一定程度理があるのだろうが、それでもそう言い続ける事がまともな人間というものだと考える。さもなくばただでさえ既に一部そうであることを否定し難いアメリカが、ますます野蛮人国家に成り下がってしまうだろう。
あくまで自国民が決める事ではあるものの、国際社会がおたくの国は異常です、と言い続ける事もけして意味が無いという事はないだろう。