2022/5/31

【解説】ロシア問題だけじゃない。原油の値上がりが続く理由

NewsPicks 編集部 記者・編集者
2021年度の貿易収支が赤字だったことは、記憶に新しいだろう。輸出から輸入を差し引いた貿易収支は5兆3940億円の赤字で、2年ぶりの貿易赤字だった。
コロナからの回復による需要拡大や、モノの値上がり、円安などによって輸入額全体が前年度より拡大した。
その中でも大きく輸入額が膨らんだのが、原油やガスなどの燃料だ。
財務省の貿易統計によると、原油(原油及び粗油)の輸入数量は20年度から21年度にかけて4.5%しか増えていないが、輸入額は約4兆円から約8兆円になり、実に2倍になった。火力発電の燃料になるLNG(液化天然ガス)や石炭も輸入額が増えている。
円安による影響はもちろんあるが、原油をはじめとした化石燃料の価格が上昇していることが大きい。化石燃料の価格上昇と円安、二重苦の状態にあるわけだ。
原油価格が上昇して燃料調達の費用がかさみ、貿易赤字が拡大すると、円売り圧力が強まる恐れがある。燃料の価格動向は、為替の先行きを考える上で大事な要素になる。
原油価格は、ロシアのウクライナ侵攻の影響を受けて、今も値上がりが続いている。今後、原油をはじめとした燃料の価格はどうなっていくのか。マーケット・リスク・アドバイザリーの新村直弘・共同代表に解説してもらった。
INDEX
  • 「脱ロシア」で原油はいくらになる?
  • 中東の増産は期待できない
  • 年末にかけて原油価格はどう動く?
  • 「脱炭素」も価格上昇の一因に
  • 敬遠されていた石炭価格も高騰
  • エネルギー政策をどうするのか

「脱ロシア」で原油はいくらになる?