(ブルームバーグ): リクルートホールディングス(HD)の前期(2022年3月期)売上高は前の期比で27%増加し、営業利益や純利益は倍増以上となるなど好決算となった。45歳の若さで社長に就任した出木場久征氏(47)にとっては上々の船出となった。

「数字だけなので」。昨年4月に就任した出木場氏はインタビューで、決算の数字に一喜一憂しない考えを示した。一方で「仕事探しを簡単にする」という目標が「できてないのは悔しい 」と述べ、さらに改善の余地を探っていく考えを示した。

出木場氏は就任時点で、東証株価指数(TOPIX)を構成する時価総額1兆円以上の企業で最年少の社長の1人だった。1999年入社の生え抜きだが、服装や物腰はテクノロジー業界のスタートアップ企業の創業者のようなたたずまいだ。

実際に社内でも新規事業や企画の立ち上げが評価されてトップに上り詰めた。今では時価総額が8兆円を超え、国内ランキングでも10位以内が定位置となるほどの巨大企業となったリクルートHDを率いる立場だ。

出木場氏は12年に米求人サイトのインディード買収に関わり、その後も米国を拠点に同事業を率いて利用者数を買収時の3倍に育て上げた経験を持つ。それだけに、リクルートHDのサービスを活用したオンライン採用には大いに改善の余地があると考えているという。

「まだまだプロダクトを改善しなければというのはある」 とした上で「われわれはもっとユーザーのことを知らなければいけない」と述べた。

リクルートHDは18年の米求人サイトのグラスドア買収以降、大型買収を手掛けておらず、同社の3月末時点での現金と現金同等物は6696億円に積み上がっている。出木場氏は今後の企業の合併と買収(M&A)に関する計画について問われると、M&Aが互いにとって有益となるかどうか事前に判断するためには協業から始める方がいいと述べるにとどめた。

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