2022/5/4

【ゲイツ投資】Windows型の「コンクリ技術」が面白い

NewsPicks NY支局長
北海道から地球儀を、ぐーっと裏側まで回してみる。
ちょうど真裏に行き着くころ、カナダの端っこにその都市はある。ハリファックス、人口わずか30万人程度の地方都市だ。
この小都市から生まれた、地味な「コンクリート技術」のスタートアップが今、ビル・ゲイツにマイクロソフト、アマゾン、さらには日本からも三菱商事が出資するなど、きらびやかな飛躍を遂げている。
実は、コンクリート産業は、最も脱炭素が難しいと言われる業界の一つ。
だが、この「CarbonCure(カーボンキュア)」という会社は、この難題に、CO2を活用するというアプローチで一つのソリューションを生み出した。
しかも、従来のコンクリートより、安く…。さらには、投資家からSaaS企業型のビジネスモデルも伝授され、ソフトウェア並みの成長速度を見せる。
まさに「良いことずくめ」のビジネスだが、なぜ、一体地味なコンクリテックが世界へと羽ばたいているのだろうか。
NewsPicksでは、今日本事業も拡大するカーボンキュアのCEOに直撃し、旧来のコンクリ業界をグリーンに変革する最先端ビジネスの真髄を聞いた。
INDEX
  • ①ゴミではない、原料だ
  • ②グリーンなのに稼げる
  • ③「古い業界」の変え方
  • ④「SaaSモデル」の必然
  • ⑤「炭素除去」の革命的変化
  • ⑥日本のガラパゴス規制に望むこと

①ゴミではない、原料だ

──まず、CarbonCureの創業経緯について聞きたいのですが、コンクリート業界の脱炭素化は難しいと聞きます。
まず、建築物は世界のCO2排出の約3分の1を占めます。
この数字だけで、いかに大きい産業か分かるはずです。その中で、まず空調や暖房、照明などのエネルギーが、建物のライフサイクルにおける排出量の約半分を占めます。
しかし、実は、残りの半分については、ほとんどの人が気づいていません