塩野義の新型コロナ経口薬、米国が購入を視野に交渉-関係者
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「米国政府は、新型コロナウイルス用の抗ウイルス薬の備蓄を増やすために、塩野義製薬と臨床試験中の抗ウイルス薬の購入について予備的な協議を行った」と米政府関係者は明かしていますが、交渉は塩野義製薬の薬を買うための予備的なものであり、現時点では購入を前提としたものではありません。
塩野義製薬製の抗ウイルス薬は現在後期臨床試験中です。この薬は使用後数日以内に患者のウイルス量を減らしたことはわかっていますが、その時点では臨床的有効性を示すデータを示すことはできていません。日本では数百例の投与成績が集まった時点で特例承認受けるための申請を提出するとしていますが、現在までにその臨床成績は開示されておらず、内容を知ることはできません。
米国で販売するには、米FDAの審査基準をクリアする必要があります。米国では新型コロナウイルス用抗ウイルス薬として、メルク社製、ファイザー社製の2剤が緊急使用許可を受けていますが、試験のスタートラインで2000~3000例程度の患者登録を行い、無作為化二重盲検比較試験での臨床的有効性が示されていました。今後の米国での緊急使用許可には、これと同等以上の基準のクリアが求められると思います。すでに重症者を減らすことを確認できている薬が複数存在する中、「ウイルスが減る」といった「代替の」アウトカムしか証明できていない薬が米国で承認されるとは思えません。臨床的なアウトカムの証拠が確認できるまでは、使用開始はないと思います。