円相場 一時128円台に値下がり 2002年5月以来 円安水準を更新
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厄介なことに今回は日本の貿易赤字拡大、過剰な防疫政策による成長率低迷、FRBを筆頭とする海外中央銀行の引き締め路線など、どう見ても円売りに正当性があります。そこへ、当局者による小出しの情報発信が円売り投機ゲームを焚きつけているのが現状です。
対ユーロ、対ポンドでも下落しています。長期金利が傾向的に上がり続け日銀が上限とする0.25%に再び迫るなか、強力な緩和を粘り強く続けると主張する日銀が金利を抑え続けるなら、指値オペで国債を買ってモノとサービスの裏付けのないお金(円)を世の中に流し続けるほかありません。増えたお金は価値が下がりますから円安になりインフレ圧力が強まって当然です。
財政が健全で日銀が身軽に動ける状況なら米国並みに国債を買うのをやめて金利を上げて過度の円安を防ぎインフレ圧力を弱めることもできますが、政府が赤字国債に依存し1000兆円の借金を抱える状況下で日銀が国債を買うのを止めて金利が上げれば利払い負担で政府の財政が更に悪化しますし、低金利の国債を大量に抱える日銀も手持ちの国債の価格が下がって赤字に転じかねません。こうしたことが見透かされているなら、円安傾向はしばらく続きそう。
政府が赤字国債を発行して財政支出を拡大し日銀が量的緩和でそれを買い支える構図が内包するリスクは、日本がインフレに陥った時に初めて表面に現れます。それでなくても資源価格の高騰で企業物価が9%以上も上がる中、円安が更なる圧力になって日本が欧米並みのインフレに陥らなければ良いですが、今回の円安は日銀が続けて来た円の価値の毀損策の帰結で必ずしも投機的なものでないように感じるだけに気掛かりです。為替レートは各国の生産性や成長力の反映ですので、為替だけを取り出して良し悪しを議論することはミスリードにつながると感じます。同時に、金融市場の一側面として、何らかの「市場のwarninng」ではないかとの問題意識を持って、真摯にモニターしていく必要はあるだろうと思います。
とりわけ、各国が長期金利の形成を基本的に市場メカニズムに委ねる中、一国が長期金利に上限を画し、これをアナウンスしている場合、その差が投資家行動を通じて為替レートのボラティリティに結び付きやすくなるのは当然ともいえます。
政策論の観点からは、
・脱炭素化やウクライナ情勢を受け、国際的なリソース確保合戦という様相がますます強まると予想される中、通貨の弱さがどの程度のデメリットとして働くのか。
・資源国ではない日本の対外収支構造に、どのような変化が生じるのか。
などに関する考察が重要であるように感じます。