「慢性疼痛」和らげる働き マウスの免疫細胞で確認 九州大学
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最もよく使用され、副作用や依存性とのバランスも取れているとされる非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs=アスピリン、ロキソニンなど)が、帯状疱疹の痛みに対して効果が発揮されにくいことがあるとされる理由は以下の通りです。
細胞組織が損傷されるとアラキドン酸という物質が遊離され、これがプロスタグランジンE2(PGE2)などの発痛物質の疼痛閾値を低下させるとともに炎症を増強させることがわかっています。このケースでは、痛みの原因の多くが神経そのものから発生しているわけではありません。NSAIDsは遊離されたアラキドン酸からPGE2を合成する経路の酵素の働きを阻害することにより鎮痛・抗炎症作用を発揮しています。
帯状疱疹は神経にヘルペス・ウイルスが感染して直接的に刺激するとされ、このような「神経そのものが損傷を受けているケース」にはNSAIDsは効きにくいとされます。
したがって、九州大学の研究成果は、神経を直接刺激するタイプの痛みを和らげる医薬品開発の糸口になる可能性があります。たしかに、記事で紹介されるような神経が傷ついたあとに出る痛み「神経障害性疼痛」は時に痛みのコントロールに難渋します。それでも過去10年を振り返れば、治療薬は進歩しており、だいぶ治療の幅は広がっていますが、薬を何種類か重ねたりする必要が出ることも稀ではありません。新たな治療法の開発が望まれるのは間違いのないところです。
ただし、この神経障害性疼痛のうち、帯状疱疹後の痛みについては、有効な予防法が確立されています。シングリックスと呼ばれるワクチンです。このワクチンには、非常に高い有効性が確立されており、50歳以上の全ての方が適応になります。2ヶ月以上あけて2回の接種が必要です。該当する方はぜひご検討ください。他方で、慢性痛は神経の誤動作であるという考えも
原因不明の長引く痛みは神経の誤作動の可能性、研究が進む心理療法
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/22/040500154/?ST=m_news&s=09