【完全理解】「黒字事業リストラ」の最前線
コメント
注目のコメント
一つ肝心な要素が抜けているとすると、株価を意識した経営だろうか。選択と集中の中に含まれているのかもしれないが、黒字で売却するモチベーションの一つに収益率の向上がある。会社全体の利益率が15%だとすると10%の事業を売却することによって全体水準が上昇。将来の収益性が重視される株価は、違う観点から評価があがる。
例に出ているツバキは、アジアンビューティーを全面に押し出し、一世を風靡。多大なる宣伝広告費をかけて、ブランド認知を図ったあとに継続的にキャッシュを生み出す事業になるものの、売上高が跳ねることは期待できない。
もう一つの例のアリナミンも消費者に宣伝を行い、流通網も違うため従来の製薬ビジネスよりは格段に利益率が落ちる。会社のブランドをマスに知ってもらうというメリットが一巡した段階で、売却は妥当。
この「規模を縮小してでも利益率を上げる」という考え方は、アクティビストさえも日本企業を真剣に投資対象として考えている現代において必要不可欠な要素となるだろう。日本人としては、売却後も元従業員が幸せな環境を維持したいと考える経営者は多いはずで、より一層事業売却のプロになる必要があると考える。記事では2.0と3.0で分けてますが、どちらも言葉にすれば選択と集中で違いが分かりにくい
以前、総合電機メーカーさんのPJで事業ポートフォリオの検討をした際に議論していたのは、どの事業も今は「そこそこ」強いが、各事業が最終的にたどり着くエンドゲームを考えると、日本の中で順位を競う「国体レベル」ではなく、結局グローバルで金銀銅のメダリストを目指さないと勝てない、いわゆる規模が効くビジネスが多く、そうなるとメダリストに育成するには大型M&A含めた大規模投資をしないといけないので全ての事業では出来ない
比喩的に言えば、国体レベルのオリンピック候補選手が10人いる中から、例えば3人位を選んで限られた強化費用を潤沢につぎ込んで初めてオリンピックでメダル争いができるようになる、という状態をイメージしたら分かりやすいと思います我々は中小企業の集まりなのだ──
今から8、9年前、化学メーカーのカネカが、企業経営説明会を開いたときに、当時の副社長がそのように話していたことを今でも鮮明に覚えています。
カネカは自動車に使われる樹脂のほか、マーガリン、還元型コエンザイムQ10、カツラなど様々な事業を手がけている会社です。
年商6000億円規模と、まさに大企業であるものの、事業一つ一つの規模は数百億円というのです。
私自身、記者の駆け出しは「中小企業取材」でした。それこそ、(ほぼ夫婦で経営を切り盛りしていることから)「父ちゃん母ちゃん企業」と呼ばれる数人の町工場から、多くて200人規模の会社です。
たまに、年商100億円の会社を取材すると、「大企業に取材している」感覚を禁じ得ませんでした。
その後、数千億円~数兆円の大企業取材が中心となります。しかし、先ほど聞いた、大企業は中小事業の集まりという発想を得た後は、「あれれ~、中小企業と変わらないぞ~」(「名探偵コナン」風に)と、感じることになりました。
事業売却が増える今こそ、「企業より事業」の視点をお伝えしたいと思っています。