日銀が夏にYCC弾力化も、円安進行に国民不満-早川元理事
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注目のコメント
国民不満(≒支持率)に跳ねれば無視できなくなるというのは間違いないでしょう。ただ、YCCを漸次的に修正すると為替の投機取引を焚きつけるだけなので、急に枠組み自体を失くす、という可能性も排除は出来ないと思います(正常化を検討するならば、ですが)。
実際のところ、財界要人から今の円安に相当不満が漏れている中、放置する難易度は相当高くなっているようには見えます。若干テクニカルな事を申し上げると、さまざまな「非伝統的緩和」手段の中で、日本だけが採用しているのがエクイティの買入れと長期金利コントロールです。同時に、これらはエグジットが最も難しい手段でもあります。(だからこそ、他国は採用しなかったという面はあるように思います。)
エクイティについてはデットと違って償還がないのでエグジットするためにはアウトライトで売らなければいけないためですが、長期金利コントロールは、いわば翌日物ゼロ金利を10年続けますとアナウンスすることに近くなるため、その変更のコミュニケーションが難しいためです。
したがって、机上の経済学的には、エグジットは徐々に年限を短期化しながら行えという提言が出がちなのですが、日本の国債市場はかなり独特で、10年物指標銘柄の流動性が圧倒的に高く、それ以外の年限の流動性はかなり落ちます。したがって、10年物以外の年限を無理にコントロールしようとすると、全体のイールドカーブがぐちゃぐちゃになってしまう可能性が高いと思います。
早川さんは市場調節もやっておられたのでその辺りの事情は当然ご存じですし、だからこそ短期化ではなくレンジ拡大と言っておられるのだろうなと拝読しました。問題は、「引き締めではない」というイメージ維持のため誘導目標をゼロ%に維持したまま、レンジのみプラスマイナス0.35とかプラスマイナス0.5に拡大していくのは、さすがにコミュニケーションの意味がないと受け止められかねないことでしょうね。