国連人権理からロシア追放 総会決議、安保理常任国初
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国連の人権理事会は何をするところかというと、
・47か国の理事国を選出し
・世界各地で起きている人権侵害について調査、報告書を作成
するのが主な活動です。
報告書が、プレスリリースになり、報道されたりします。
それ以上何かできる機関ではないのですが、わざわざ国連総会で採決して理事国を追放するというのは稀です。こういう追放の先例ができると、同様に追放されかねない国はいくつもあります。
今回、ロシア追放に賛成だったのは93か国、反対は24か国でした(棄権は58か国)。
反対の24か国は、ベラルーシ、北朝鮮、シリア、イラン、キューバといった、ロシア擁護の常連の他に、中国、ベトナム、アルジェリアなども反対に回りました。
やはり、こういう追放の前例ができるのは望ましくないと考える国はかなりいます。
なお、人権理事会などは権限が無いのだから、安全保障理事会の常任理事会の地位からロシアを追放するべきだ、という意見もありますが、こちらは手続きが大変です。
ロシアが常任理事国であることは国連憲章で定められているので、国連憲章の改正が必要になります。そのために必要なのは、
① 国連総会において3分の2の多数で可決
② 常任理事国5か国を含む国連加盟国の3分の2が批准する(各国の議会で可決する等する)
です。
つまり、ロシア政府自身が賛成しないとロシアを常任理事国の地位から追放することはできないので、ほぼ不可能です。トランプ政権のアメリカは人権理事会を脱退すると宣言し、しばらく審議に出てこなかったことがある。そのアメリカがリードして今度はロシアを人権理事会から追放。そうした派手な動きばかりがメディアで報じられるが、人々の人権侵害はその間も続いている。新疆ウイグル、シリア、北朝鮮などの人権侵害について、人権理事会は地道に証拠を集め、世界にその実態を伝えている。そうした場に、ブチャ虐殺の画像など偽造できると言い放ったロシアが参加すべきではない。国際社会がそれを突きつけた。
あえて、反対が24ヶ国、棄権が58ヶ国もあったことに注目したい。無投票の17ヶ国を合わせると、総数は賛成票を超える。今回、国際社会は連携したように報じられているが、事はそう単純でないような気がしてならない。
事実、民主主義国家よりも独裁国家のほうが、その数は多い。独裁国家イコール軍事強国というわけではないだろうが、少なくとも、国際社会はまだまだ決して連携などしてはいない。
そうした状況下において、一体今回のウクライナ戦争がどのように終着点へと向かっていくのだろうか。これは、今後の極東情勢を睨む上でも、つまりは我が国の未来を考える上でも、非常に重要な事態であるとあらためて感じる。