2022/3/31

【深刻】知られざる社会の病〈叱る依存〉とは何か

NewsPicks編集部
まるで予言者のように、新しい時代のムーブメントをいち早く紹介する連載「The Prophet」。今回登場するのは、新著『〈叱る依存〉がとまらない』(紀伊國屋書店)が大きな反響を呼んでいる、臨床心理士・公認心理師の村中直人氏だ。
児童虐待、DV、パワハラ、理不尽な校則、過熱するバッシング報道──近年ますます深刻化するこれらの社会問題には、「叱ることへの依存」が共通項としてあるのではないか、というのが村中氏の問題提起だ。
(takasuu/iStock/Getty Images)
臨床心理士・公認心理師として、村中氏は発達障害の当事者の支援を行っている。
こうした人たちは、大人も子どもも「叱られる」ことが非常に多い。彼らと接する中で、村中氏は「叱る」という行為に対する社会の認識をアップデートする必要を感じるようになったという。
ひとつには、「叱る」の効果は世間で思われているほどには高くないから。もうひとつは、「叱る」という行為には「叱る側のニーズ」を強く満たす側面があり、人は叱らずにはいられない依存的な状況に陥ってしまうことがあるからだ。
以下、同書のエッセンスを紹介しながら、〈叱る依存〉のメカニズムに迫っていこう。
INDEX
  • 「叱る」は過大評価されている
  • 「叱る」と攻撃性はセット
  • 「叱る」は学びや成長を支えない
  • 「叱る」が効果的に思える理由
  • 「叱る」は報酬系回路を刺激する
  • 「叱る」ニーズは「叱る側」にある
  • 「叱る」を自然に減らす方法