2022/3/4

【展望】圧倒的データ量に勝機。「脳×AI分野」日本の潜在力とは

NewsPicks編集部
まるで預言者のように、新しい時代のムーブメントをいち早く紹介する連載「The Prophet」。今回登場するのは、人工知能を通じて脳の機能を拡張する研究に従事する、現役医師の紺野大地氏だ。
前編では、紺野氏の初の著書(共著)『脳と人工知能をつないだら、人間の能力はどこまで拡張できるのか』(講談社)のエッセンスを紹介しながら、最新の研究事例をベースとする未来予測を紹介した。
現役の医師であり、大学院生として研究に臨む紺野氏は、“脳と人工知能を接続した未来”に何を見ているのか。
「“NEXT GAFA”が生まれるかもしれない」という仮説をひも解き、新産業の未来予測をしていこう。
INDEX
  • 脳の潜在能力を解放する
  • 睡眠、食欲、やる気をコントロール
  • 世界一、生き生きと歳が取れる国
  • 大産業の創出を狙う医師の視点

脳の潜在能力を解放する

──認知症を専門とする紺野先生は、どのような経緯で人工知能と脳の研究に従事するようになったのでしょうか?
紺野 医学部在籍時、進路を考えるにあたり、「自分がなりたくない病気」を専門にしようと考えました。学部の友人や先輩にもあれこれと話を聞きながら、もっともなりたくないと感じたのが、家族のことや自分のことを忘れてしまう「認知症」でした。
そして臨床現場で患者さんを実際に診察して初めて、現時点では「認知症がすっかり治る」ということは、今のところあり得ないという現実を知りました。新薬も開発されていますが、「何十年も飲み続けて、進行を多少遅らせることができる」程度です。