2022/3/3

【解説】中国の「台湾統一シナリオ」を論理的に考えてみる

NewsPicks編集部
今日のウクライナは、明日の台湾なのか──。ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、台湾有事を危惧する声が高まっている。
アメリカをはじめとするNATOがロシアへの武力介入をしていないことで、もし中国が台湾統一に動いても「お手上げ」になるのではないかとの懸念がある。
一方で、ウクライナと台湾は地理的にも歴史的にも違いが多くあり、両者を同一視すべきではないという意見も少なくない。
今回のウクライナ侵攻は、台湾情勢にどう影響するのか。中国は今、何を考えているのか。
日本への影響も含めて、東京大学東洋文化研究所の松田康博教授による解説をお届けする。
INDEX
  • ウクライナと台湾は「違う」
  • 「台湾侵攻」は中長期的課題
  • 狙いは「台湾の屈服」
  • 中国の強みは「待てる」こと
  • 人民解放軍は「まだ戦えない」
  • 台湾人は「抵抗する」
  • なぜ「台湾有事は日本有事」か?

ウクライナと台湾は「違う」

ウクライナ情勢が複雑化する中で、そうした危機を台湾海峡の問題と結びつけて解説する報道が増えています。
確かに「ロシアとウクライナ」「中国と台湾」の関係は、武力による脅しで併合する可能性という点で、表面的には似ています。
しかし、実態はかなり異なります。