[東京 1日 ロイター] - ANAホールディングス<9202.T>は1日、2021年度第3・四半期(10─12月期)の連結営業損益が1億円の黒字(前年同期は814億円の赤字)だったと発表した。新型コロナウイルス禍で初めて、8四半期ぶりに営業黒字に転換した。緊急事態宣言が全面解除された昨年10月以降、国内線の旅客需要が大きく改善。国際線貨物も好調だった。

第2・四半期決算の時点では、四半期ベースでの営業黒字転換は第4・四半期(22年1─3月期)での実現を目指していたが、前倒しで達成した。足元の旅客需要低迷を考慮し、今期業績予想は従来のまま据え置いた。

福沢一郎取締役は決算会見で、国内線旅客の回復や国際線貨物の好調などにより、10─12月期は営業利益ベースで計画から300億円上振れたと説明した。1─3月期は、新型コロナの変異型オミクロン株の感染拡大の影響で「足元で旅客需要が低迷していることは否めない」と述べ、今後の見通しも「慎重にならざるを得ない」と話した。

昨年10月下旬の第2・四半期決算時は、ANAブランドの1―3月期平均の旅客需要について、国内線はコロナ前水準の80%、国際線は同20%の回復を前提としていた。しかし福沢氏は、国際線は「今現在は水際対策が厳しい状況で、前提が崩れつつある」と指摘。国内線も「1月は残念ながら8割の水準に達するのは難しいことが見えてきた」と語った。1─3月期は春休みの旅行需要や貨物好調の持続が期待されるが、「少し厳しめに見る必要がある」とした。

国際線貨物は、10─12月期の売上高が5四半期連続で過去最高を更新。半導体や自動車部品などの輸送が増えており、海運コンテナ船の需給逼迫もあって貨物単価は向上しているという。福沢氏は、国際線貨物の好調は「22年度上期(22年4─9月期)くらいまでは続く」とみている。

10─12月期の売上高は前年同期比30.2%増の3069億円、純損益は40億円の赤字(前年同期は1210億円の赤字)となった。4─12月期累計での純損益は1028億円の赤字(前年同期は3095億円の赤字)だった。

22年3月期の連結最終損益は1000億円の赤字(前期は4046億円の赤字)と従来予想を維持した。アナリスト10人による事前の市場予想(IBESのコンセンサス予想)は1151億円の赤字となっている。

今期の売上高は前期比45.5%増の1兆0600億円、営業損益は1250億円の赤字(前期は4647億円の赤字)をそれぞれ見込む。