【直撃】メルカリの秘密部隊、パブリックアフェアーズとは?
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GAFAM 5社が、ルールメイキングする上で重要なロビイングに投じた活動費は、合計6130万ドル(2020年)ーー。特集2話目(https://newspicks.com/news/6636048?ref=series)でもリポートした通り、新しいビジネスを行うには、新しいルールを形成する必要があります。そのため、強いスタートアップは、経営直下のパブリックアフェアーズ部門を作り、優秀な人材を登用しています。
国内でその先行事例ともいうべきがメルカリです。我々が当たり前のように活用しているサービスは、このような監督省庁や業界団体との押したり引いたりの交渉の結果、成り立っているのかと感じずにはいられないリアルな実例を、同社のパブリックアフェアーズの責任者、吉川さんが紹介してくれました。
市民社会を巻き込み、よりオープンで公益性のあるアプローチを目指す「ロビイング2.0」。その最新事例ともいえる「リペアビリティ(修理する権利)」の概念は広がるといいなと共感しました。リサイクルだけではなくリペアもしやすい社会が、ユーザーにも地球にも優しい社会だと思いますね。メルカリでは、欧米でムーブメントとなっているリペアビリティ(修理する権利)の仕組みづくりの検討をしているとのこと。
この修理する権利の整備に関連して、欧州等で仕組化が進んでいるデジタル・プロダクト・パスポート(製品の素材情報や環境情報、リペアやリサイクル履歴等の情報を一元化して、サプライチェーンで共有する仕組み)が存在し、日本でも資源循環に関する情報プラットフォームという形で、検討が進められています。
そしてメルカリに蓄積されるビッグデータはこういった潮流と親和性があると思います。
「修理する権利」というと、メーカーにとっては不利な流れと受け取られがちですが、二次流通の流れが可視化されフィードバックを受けることができれば、メーカーも修理サービス等の戦略的な展開を考えられます。
以前、メルカリ経営企画参事・元政治家の高橋亮平氏が出られているサーキュラー・エコノミーに関する公開セミナーを聴講したことがありますが、この時点では「二次流通の際に、一時流通者(メーカー等)にお金を落とす仕組み」も検討されているとのことでした。これがリペアビリティと関連したものとなるかはわかりませんが、二次流通者と一時流通者の連携は、環境を主軸とした新しいビジネス創出の場として面白いと思います。個人的には官僚は日本の宝だと思っているのですが、いろいろ聞いていると本来の仕事であるはずのルールメイクよりも、(KBSに派遣されてきた卒業生が戻る企画部も似たところがありますが)「雑用」「調整」「何でも屋」として浪費されていることが多い気がします。そう考えると、本来の仕事をし易い民間のほうがやりがいがあるのかもしれませんが、ぜひそうした経験をもう一度役所に持ち帰って創造的破壊してほしいなあ、なんて思ってしまいました。