2022/1/31

【氷見野前金融庁長官】秘伝の十則を公開、これが日本の勝ち方だ

NewsPicks編集長
技術で勝って、ルールで負ける──。日本企業は長年、標準化や規制など世界標準のルール形成が苦手と言われ、不利な立場に甘んじてきた。
しかし、ルールとは国家や企業が適応すべき「所与のもの」ではなく、自ら国内外の当局や競合などステークホルダーに働きかけることで形成しうるものだ。
気候変動、デジタル化、グローバルなサプライチェーンなど、世界標準のルールメイクが待ったなしで迫る中、日本はどのようにルール形成し、優位性を勝ち取るべきか。
ルールへの対応次第では、ダイベストメント(投資や融資の引き上げ)、取引の停止など、経営の存続に関わる時代。
本特集では、政府や大企業に限らずスタートアップに至るまで、「ルールづくりを制する者が、ビジネスを制する」という世界の現実を直視。経営や事業サイドはもとより、営業など現場の担当者でもできるルールメイキングを活用した仕事のやり方について紹介する。
特集1回目に登場するのは、氷見野良三・前金融庁長官だ。
国際舞台で鍛え抜かれた欧米主要国のネゴシエーターたちが彼の言葉に耳を傾け、国際金融のルールづくりをリードしてきたという稀有な日本人として知られる。
世界金融危機を防ぐという大義のもと、日本のメガバンクの命運を握ったといわれる「バーゼル規制」。強硬な規制強化を唱える海外勢と対話を重ね、メガバンク首脳に「日本の金融外交史上、初めての歴史的な勝利」と言わしめた。
そんな氷見野氏は、後輩に伝授した「国際交渉の十戒」という指針を掲げる。本記事では、その10のルールを氷見野氏が経験した具体的なエピソードを基に、伝授してもらった。