Cost of a net-zero world ‘much higher’ than estimated
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ほぅ。マッキンゼーさん、ネット・ゼロの世界のコストはこれまでの試算よりはるかに高い、と。
あくまでも試算ですし、今までのネット・ゼロに必要なコスト試算はかなり抑制的だなと思っていたので、私自身はあまり驚きはないですが、「年間平均9.2兆ドルの支出が必要であり、これは現在の支出に比べて年間3.5兆ドル多い」、「この増加額は、2020年には世界の企業利益の半分、税収総額の4分の1、家計支出の7%に相当する」って、実感を持って捉えるのが難しい規模感ですね。
いずれにしても、単なるコストではなく良い投資となるよう、日本として飯のタネを確保していくかが課題ですね。こちらがMcKinseyの元の調査だと思う。
記事にもCurrent Spendingという言葉もあるが、Exhibit 1を見ると、Net Zeroを目指す中でCurrentとNewで分かれ、総額で年間9.2兆ドルという試算。
現在が年間5.7兆ドルの支出で、Net Zeroを目指す中、この増加の3.5兆ドルをLow Emissionで投資することに加え、既存の1.0兆ドルをHigh EmissionからLow Emissionへの支出に変えることが必要、と。なお、Low Emissionへの既存投資が年間2.0兆ドルなので、それがが年間6.5兆ドルに増加することになる。
https://mck.co/3KRLSEDある排出量がnet-zeroになるように「バランス型フィードバックループ」を構築するには投資が必要で、しかもその排出は「(資本の)自己強化型フィードバックループ」の副作用として垂れ流していたもの。エネルギーはインフローとして枯渇を懸念し続けていたものの、意識せざるアウトフローであったGHGはnet-zeroと言いつつも、地球というシステムへのインフロー(排出)は実質禁止することで平衡状態を保とうとしています。
つまり最低でもエネルギーと資本(の増殖)とGHGの3つのフローのあるシステムダイナミクスを、GHGがゼロになるように他の要素を調整することになりますが、エネルギーの投入量は減らしたとしても資本のアウトフローが減ることは目指さない。ここではシステムへの投資が資本のインフローになります。
システム投資がbefore net-zeroよりも高く付くと試算することの意味は、環境対応で資本の増加が奪われる可能性が高いと分かっているからで、獲得資本の低減を抑えるにはエネルギーの投入量と価格を下げることと、GHGに価値を付けることのどちらか。前者はイノベーション頼みで有り、後者は炭素税等と負担者のルール・メイキングで決まることに。
社会システムとしての大局的なnet-zeroシステムのダイナミクスを論考するような視点はMcKに有るのかどうかは分かりませんが、一面的な取り上げられ方もそろそろやめてレバレッジ・ポイントをどこに置いて取り組むのかの競争をすべきだと思うのですが、そのための見取り図が無いような状況なのかと思います。改めてシステムダイナミクスを気候変動だけで無く、経済のフィードバックループと組み合わせて考えるべき時では無いでしょうか。