2022/1/25

【独占翻訳】ビル・ゲイツ、再エネ、原発、テクノロジーを語る

NewsPicks CXO
ほとんどの人がまだ十分に考えられていないであろうこと。それが気候変動です。
ゆえに「誰もがまだ、恐怖心を持っていない」と、前回のルトガー・ブレグマンは答えています。そう、正しく理解した上で恐れてみたい。
そこで本日は、ビル・ゲイツです。なぜ気候変動は問題なのか。そして、どんなテクノロジーとイノベーションが必要なのでしょうか。順を追って説明してもらいましょう。
特集「Think ***」第2回のテーマは気候変動。前回に続き、米ニューヨーク・タイムズの新Podcast番組「Sway」より、独占翻訳してお届けします。
INDEX
  • ①ムーアの法則は通用しない
  • ②原発をやる、たった1つの理由
  • ③グリーンテックの全貌を押さえる
  • ④ベゾスとマスクのこと
  • ⑤ロビー活動は、大事だと気づいた
  • ⑥もしゲイツが政府ワクチン担当なら
  • ⑦次の備えは、まだできていない

①ムーアの法則は通用しない

ビル・ゲイツ 気候問題に関心を持ったきっかけは、2000年に財団の仕事でアフリカを飛び回ったことでした。
各地に電気が通っていないのを目の当たりにして、アフリカ全土に電力を供給するにはどうしたらいいのだろうかと。そして、今は排出量ゼロを実現するために制約があるのだと気づきました。
そこで複数の大学教授と会って話をするようになり、2010年までには、イノベーションが今後のカギを握ることがわかった。
だから2010年にTEDで、気候問題について講演しました(日本語訳つき)。
私はこの気候変動対策に20億ドル強を投じてきて、投資した企業のひとつが成功すれば、それで得た資金をさらに投じることができます。
今後5年間で、さらに20億ドルの投資をする予定です。これまでにテラパワー(TerraPower)やブレイクスルー・エナジー(Breakthrough Energy)を創設しました。
過去15年間を要約して言うと、私たちはイノベーションを加速させて、排出削減の全てのカテゴリーに取り組んでいかなければならない、というわけです。
カラ しかし、あなたが指摘してきた通り、エネルギー業界はテック業界のように変化しない、ということがありますよね。
エネルギー業界は、あなたがキャリアの大半において携わってきた、ムーアの法則や絶え間ない変化を、進んで受け入れようとしないのだと。
ビル ええ。私たちはソフトウェアやインターネットを見ていて、物事は素早い変化を遂げ得るものなのだ、と思っています。
ゲイツ財団が、開発途上国の子どもに重点を置く「医療の進歩」でさえも、きわめて迅速に進んでいる。新しいワクチンが開発され、子どもたちの死亡率は半分に減っています。
しかしエネルギー業界では、新しいものが提案されても、それまでより良くなっているわけではない。新しいものは二酸化炭素(CO2)が排出されないというだけで、コストは以前よりもずっと高くつきます。