[ロサンゼルス 20日 ロイター] - 米動画配信サービス大手ネットフリックスが20日に発表した第4・四半期(12月31日まで)の新規契約者数は市場予想を下回った。パンデミック(世界的大流行)関連の規制緩和や競争激化により契約者の新規獲得に苦戦している状況が浮き彫りとなった。

第4・四半期の新規契約者数は830万人。市場予想は840万人だった。

同社は今年第1・四半期の新規契約者数が250万人になると予測。「ブリジャートン家」の第2シーズンなど、期待されていたコンテンツの遅れを理由に挙げた。アナリスト予想の590万人を大幅に下回った。

これを受け、株価は引け後の時間外取引で約20%下落。新型コロナウイルス流行の影響を受けた2020年からの上げ幅の残りほとんどを帳消しにした。

グローバルの契約者総数は昨年末時点で2億2180万人に達した。

ネットフリックスは株主への手紙の中で、現在進行中の新型コロナ流行や、ラテンアメリカなど世界のいくつかの地域における経済的な困難が、パンデミック(世界的大流行)前に見られた水準まで契約者数の伸びを回復させない原因になっているとの考えを示した。

テッド・サランドス共同最高経営責任者(CEO)は決算を受け、新型コロナが多くの不確実要素を生み出したため契約者数を予測するのは難しいが、「事業のファンダメンタルズは全てが非常に堅調だ」と述べた。

調整後の1株利益は1.33ドルで、アナリストのコンセンサス予想である0.82ドルを上回った。売上高は77億1000万ドルと市場予想にほぼ一致した。

先週には米国とカナダで動画配信サービスの月額利用料金を引き上げると発表。アナリストによるとこの地域では成長が停滞している。

アナリストによると、ネットフリックスの22年の契約者数の伸びは安定し、パンデミック前のペースに戻ると予想されていた。19年の新規契約者数は2790万人だった。しかし、競合他社との競争も激化している。

ピボタル・リサーチのアナリスト、Jeff Wlodarczak氏は「パンデミックによるロックダウン(都市封鎖)で大量の需要が前倒しされ、正常化するまでに予想以上の時間がかかっている」と述べた。

ネットフリックスは、競争の激化が「当社の周縁部分の成長に幾分影響を与えているかもしれない」としながらも、新たなストリーミングオプションが開始された全ての国では依然として成長を続けていると説明。株主向けの手紙の中で「不確実性と競争の激化の中にあっても、当社の長期的な成長見通しについては楽観的だ」とした。

経営幹部はインタビューで、自社の長期的な展望は明るいと投資家にアピール。サランドス共同CEOは、顧客エンゲージメント・滞留時間の縮小は見られないと述べ、伝統的なテレビからストリーミングへの移行により、世界中でビジネスチャンスが広がり続けると予測した。ただ、株価は20%近く下げたままだった。

サランドス氏は「非常にグローバルな出来事、もしくは地域的な状況がある時に移行のペースを語ることは時に少し難しいかもしれない」としつつ、「しかし、それは絶対に起きている。それは間違いない」と強調した。

同社は、モバイルゲームを含む新しい顧客獲得方法を模索。21年に10本のゲームをリリースし、当初の評判に満足しているとして、22年にはゲームポートフォリオを拡大するとした。