2022/1/7

【超解説】Googleも参戦。過熱する「時間結晶」の先陣争い

NewsPicks 副編集長 / 科学ジャーナリスト
2021年11月末、英科学誌ネイチャー電子版で投稿時から注目を集めていた論文が公開された。
Googleの総勢101人の研究者が米スタンフォード大学などアカデミアの研究者と共同でまとめたこの論文は、小型量子コンピューターを使って「時間結晶」を実現したと主張する内容だった。
同月上旬には米科学誌サイエンスでも、オランダのデルフト工科大学、米カリフォルニア大学バークレー校などの研究グループが、特殊なダイヤモンドを使ってやはり「時間結晶」を作ったとする論文を発表している。
時間結晶(タイムクリスタル)。
どこかSF的な響きがあるが、今、物理学の最先端で論争と熾烈な競争をもたらしている最もホットな研究テーマだ。
時間結晶に関する研究で国際的に注目される渡辺悠樹・東京大学准教授に話を聞いた。
INDEX
  • 発端はノーベル賞学者の提案
  • 三つ巴の先陣争い
  • カギは「対称性の破れ」
  • 「ウィルチェック版」が不可能なわけ
  • 実現するのはどんな時間結晶か
  • DARPAもすでに投資
  • 「非平衡状態の物理」が発展する

発端はノーベル賞学者の提案