2022/1/5

【最新展望】コロナワクチンの成功で加速する「mRNA医薬」

NewsPicks編集部
「多くの人は、モデルナを新型コロナワクチンの会社だと思っている。しかし我々の本質は、医薬のプラットフォームだ」
2021年9月、米モデルナのステファン・バンセルCEOは投資家向けのR&D発表会でそう強調した。
モデルナや米ファイザー/独ビオンテックが初めて実用化し、多くの国で普及したメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンは、必要なタンパク質を、その設計図となるmRNAを投与して体内で作らせる仕組みだ。
バンセル氏の言葉通り、同じ原理でどんな医薬も実現できる可能性がある。
NewsPicks編集部は21年9月の特集「すごいmRNA」で、コロナワクチンによって幕を開けた「mRNA医薬」の研究の歴史や開発動向を詳しく紹介した。
mRNA医薬のターゲットは感染症にとどまらず、がんや他の疾患にも広がる。
22年以降、この新しい医薬にどんな展開が期待されるのか。
国産mRNAワクチンはできるのか。
最新展望を、mRNAワクチンに詳しい国立医薬品食品衛生研究所遺伝子医薬部の井上貴雄部長が解説する。
INDEX
  • 迅速に設計・製造できるのが魅力
  • mRNAワクチンの有効性が高い理由
  • コロナ以前はがん治療用が先行
  • 今年中に国産mRNAワクチン実用化か
  • がん細胞の「目印」を体内で作らせる
  • 「疾患治療用」mRNA医薬のハードル
  • 「次」のパンデミックに備えよ

迅速に設計・製造できるのが魅力